男性更年期の症状とは?疲労・性欲低下・ED・イライラ・集中力低下との関係
2026/10/16
「最近なんとなく不調」が男性更年期のサインかもしれません
男性更年期では、症状が一つだけ現れるとは限りません。
「以前より疲れやすくなった」
「性欲が落ちた」
「EDが気になるようになった」
「イライラしやすい」
「集中力が続かない」
このような変化が、少しずつ重なって現れることがあります。
一方で、これらの症状は男性更年期だけに特有のものではありません。
睡眠不足、ストレス、うつ状態、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群、甲状腺疾患、貧血などでも、よく似た症状がみられます。
そのため、男性更年期を考えるうえで重要なのは、
「症状があるかどうか」だけではなく、「どのような症状が、どのような組み合わせで出ているか」
を見ることです。
特に、
-
性欲の低下
-
朝立ちの減少
-
ED
-
疲労感
-
活力の低下
-
気分の落ち込み
-
イライラ
-
集中力の低下
-
筋力低下
-
体脂肪の増加
-
睡眠の問題
などは、男性更年期の相談でよくみられます。
本記事では、男性更年期でみられる代表的な症状を、性機能・身体・精神・睡眠・体組成に分けて整理し、
どの症状がテストステロン低下と比較的関係しやすいのか
についても、国内外のガイドラインや研究をもとに解説します。
男性更年期の症状は大きく4つに分けて考える
男性更年期では、さまざまな症状がみられます。
「疲れやすい」
「性欲が落ちた」
「イライラしやすい」
「集中力が続かない」
といった一つ一つの症状だけを見ると、男性更年期なのか、それ以外の原因なのかが分かりにくいことがあります。
そのため、実際の診療では症状をいくつかのグループに分けて整理すると考えやすくなります。
大きく分けると、
-
性機能に関する症状
-
精神・認知面の症状
-
全身・身体症状
-
体組成・睡眠の変化
の4つに分けて考えることができます。
性機能に関する症状
男性更年期で特に注目されるのが、性機能の変化です。
代表的には、
-
性欲の低下
-
ED
-
朝立ちの減少
-
性的な関心の低下
などがあります。
これらのうち、特に性欲低下や自発的な勃起の減少は、疲労感やイライラなどに比べるとテストステロン低下との関連を考えやすい症状です。
一方、EDには血管障害、糖尿病、高血圧、喫煙、薬剤、心理的要因などさまざまな原因があります。
そのため、EDがあるだけで「テストステロンが低い」と判断することはできません。
精神・認知面の症状
男性更年期では、
-
やる気が出ない
-
イライラしやすい
-
気分が落ち込む
-
集中力が続かない
-
頭がぼんやりする
-
以前より仕事に前向きになれない
といった精神・認知面の変化がみられることがあります。
ただし、これらの症状はストレス、睡眠不足、うつ病、不安障害などでもよくみられます。
そのため、精神症状だけで男性更年期と判断することはできません。
特に、
「何をしても楽しめない」
「強い落ち込みが続く」
といった症状がある場合には、男性更年期だけに原因を求めず、ほかの原因も含めて評価することが重要です。
全身・身体症状
身体面では、
-
疲労感
-
倦怠感
-
体力低下
-
ほてり
-
発汗
-
筋肉や関節の不調
などがみられることがあります。
特に疲労感は、男性更年期の相談でよくみられる症状です。
ただし、疲労感や体力低下は非常に非特異的で、
-
貧血
-
甲状腺疾患
-
糖尿病
-
睡眠障害
-
慢性疾患
-
過労
などでも起こります。
そのため、「疲れる=男性更年期」と単純に考えないことが重要です。
体組成・睡眠の変化
男性更年期では、自覚症状だけでなく、身体の構成や睡眠の変化として現れることもあります。
例えば、
-
筋肉量の減少
-
筋力低下
-
体脂肪の増加
-
お腹まわりの脂肪が増える
-
寝つきが悪い
-
夜中に目が覚める
-
熟睡感がない
-
朝起きても疲れている
といった変化です。
テストステロンは筋肉や脂肪の分布に関係しているため、低テストステロンが続くと、筋肉量が減少し、脂肪量が増える方向に体組成が変化することがあります。
一方で、加齢や運動不足、食生活の変化でも同じような体型変化は起こります。
また、睡眠不足や睡眠時無呼吸症候群そのものが、
-
疲労感
-
集中力低下
-
ED
-
活力低下
を引き起こすことがあります。
そのため、睡眠の問題がある場合には、
男性更年期の症状として睡眠が悪くなっているのか、睡眠障害が男性更年期に似た症状を起こしているのか
を考える必要があります。
症状は一つではなく、組み合わせを見る
男性更年期を考えるときに重要なのは、症状の数を単純に数えることではありません。
例えば、
性欲低下+朝立ちの減少+ED
という組み合わせであれば、テストステロン低下を考えるうえで比較的参考になります。
一方、
疲労感+集中力低下+日中の眠気
という組み合わせであれば、睡眠不足や睡眠時無呼吸症候群なども強く考える必要があります。
また、
筋肉量低下+体脂肪増加+肥満
がある場合には、テストステロンだけでなく、運動量や代謝状態も確認する必要があります。
つまり男性更年期では、
どの症状があるか
+
どの症状が一緒に出ているか
+
いつから続いているか
+
生活習慣や基礎疾患はどうか
を整理することが重要です。
症状の特徴を丁寧に確認したうえで、必要に応じてテストステロン測定やその他の検査を行うことで、原因をより正確に考えることができます。
性欲低下・ED・朝立ちの減少
男性更年期でみられる症状の中でも、性欲低下・ED・朝立ちの減少は、テストステロン低下との関連を考えるうえで特に重要です。
疲労感やイライラ、集中力低下などはさまざまな原因で起こりますが、性機能の変化は男性ホルモンとの関係を考える手がかりになりやすい症状です。
ただし、性機能はテストステロンだけで決まるものではありません。
血管、神経、睡眠、心理状態、生活習慣、薬剤など、さまざまな要因が関係しています。
そのため、性欲低下やEDがある場合も、
「男性更年期だから」
「テストステロンが低いから」
と最初から決めつけず、症状の特徴を整理することが大切です。
性欲低下はテストステロン低下を考える重要なサイン
テストステロンは、男性の性欲や性的関心に関係しています。
そのため、テストステロンが低下すると、
-
性的なことへの関心が減る
-
性行為をしたいと思うことが少なくなる
-
以前より性欲が明らかに弱くなる
といった変化がみられることがあります。
特に、
以前は普通にあった性欲が、ある時期から明らかに低下した
という変化は重要です。
一方で、性欲はテストステロンだけで決まるものではありません。
例えば、
-
睡眠不足
-
強いストレス
-
うつ状態
-
パートナーとの関係
-
一部の薬剤
-
慢性疾患
などでも低下します。
そのため、性欲低下がある場合には、テストステロンを確認すると同時に、生活背景や精神状態なども評価する必要があります。
EDは男性更年期だけが原因ではない
EDとは、十分な勃起が得られない、または勃起を維持できない状態です。
男性更年期ではEDがみられることがありますが、EDの原因は非常に多様です。
代表的には、
-
動脈硬化
-
糖尿病
-
高血圧
-
脂質異常症
-
喫煙
-
神経障害
-
一部の薬剤
-
緊張や不安
-
パートナーとの関係
などがあります。
そのため、EDがあるだけでテストステロン低下を意味するわけではありません。
むしろ、
性欲はあるが、勃起だけがうまくいかない
という場合には、血管性や心理的なEDを考えることも多くあります。
一方で、
性欲低下+ED+朝立ちの減少
がそろっている場合には、テストステロン低下を含む身体的な要因をより考えやすくなります。
朝立ちの減少も参考になる
朝立ちは、本人の意思とは関係なく起こる自然な勃起です。
そのため、性行為の場面で起こるEDよりも、心理的要因の影響を受けにくいと考えられます。
以前は頻繁にあった朝立ちが、
「最近ほとんどない」
「明らかに減った」
という場合には、ホルモンや睡眠、血管機能などの変化を考える手がかりになります。
ただし、朝立ちは睡眠の質にも大きく影響されます。
睡眠不足や睡眠時無呼吸症候群があると、朝立ちが減ることがあります。
そのため、朝立ちの減少だけでテストステロン低下と判断することはできません。
性機能症状は「組み合わせ」が重要
性機能に関する症状は、一つずつ見るよりも組み合わせて考える方が分かりやすいです。
例えば、
性欲低下だけ
であれば、ストレスやうつ状態なども考えます。
EDだけ
であれば、血管性EDや心理的EDなども考えます。
一方で、
性欲低下
+
朝立ちの減少
+
ED
という組み合わせでは、テストステロン低下を疑う理由がより強くなります。
ED治療薬とTRTは役割が違う
EDがある場合には、シルデナフィルやタダラフィルなどのPDE5阻害薬が有効なことがあります。
これらは勃起そのものを改善する薬です。
一方、TRTは、テストステロン低下がある場合に男性ホルモン環境を整える治療です。
そのため、
勃起の問題が中心なのか
性欲低下も強いのか
テストステロンが本当に低いのか
によって、治療の考え方が変わります。
場合によっては、ED治療薬とTRTを組み合わせることもあります。
性欲低下やEDがある人はテストステロンを測るべき?
性欲低下やEDがあるすべての男性に、必ずテストステロン測定が必要というわけではありません。
ただし、
-
性欲低下が強い
-
朝立ちが減った
-
EDがある
-
疲労感や活力低下もある
-
肥満や糖尿病などの背景がある
といった場合には、テストステロン測定を検討する価値があります。
特に、EDに加えて性欲低下や朝立ちの減少がある場合には、男性更年期・男性性腺機能低下症の評価を考えやすくなります。
性機能の変化は男性更年期の重要なサインですが、性欲・勃起・朝立ちをそれぞれ分けて考え、症状の組み合わせから原因を探ることが大切です。
疲労感・活力低下・やる気が出ない
男性更年期の相談で非常に多いのが、
-
疲れやすい
-
朝からだるい
-
寝ても疲れが取れない
-
以前よりやる気が出ない
-
仕事への集中が続かない
-
休日も何もする気にならない
といった症状です。
テストステロンが低下した男性では、疲労感や活力低下がみられることがあります。
ただし、これらは男性更年期に特有の症状ではありません。
むしろ、疲労感や意欲低下は原因が非常に多い症状です。
そのため、「疲れるから男性更年期」と考えるのではなく、他の症状や生活背景と合わせて評価することが重要です。
テストステロン低下で疲れやすくなることはある
テストステロンは、性機能だけでなく、筋肉量、体組成、造血、気分などにも関係しています。
そのため低テストステロンでは、
-
活力の低下
-
エネルギー不足
-
身体活動性の低下
-
疲労感
などがみられることがあります。
一方で、TRTによる疲労感や活力への効果は、性欲などの性機能症状ほど一貫して強いわけではありません。
つまり、
「疲労感がある」だけでは、テストステロン低下との関係は判断しにくい
ということです。
睡眠不足との区別が重要
疲労感の原因として、まず確認したいのが睡眠です。
睡眠時間が不足していれば、
-
日中の眠気
-
集中力低下
-
活力低下
-
気分の変化
-
性欲低下
などが起こります。
これらは男性更年期の症状とかなり重なります。
また、睡眠不足そのものがテストステロン分泌に影響する可能性もあります。
そのため、男性更年期を疑う場合でも、
何時間寝ているか
途中で目が覚めないか
朝に熟睡感があるか
といった睡眠状態を確認することが大切です。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)が隠れていることもある
特に注意したいのが、睡眠時無呼吸症候群です。
SASでは、睡眠中に呼吸が繰り返し止まることで睡眠の質が低下します。
その結果、
-
朝起きても疲れている
-
日中に強く眠くなる
-
集中力が続かない
-
仕事の効率が落ちる
-
EDが気になる
といった症状が出ることがあります。
これらは男性更年期と非常によく似ています。
そのため、
-
大きないびき
-
睡眠中の無呼吸
-
起床時の頭痛
-
強い日中の眠気
-
肥満
などがある場合には、男性更年期だけでなくSASも考える必要があります。
貧血でも疲労感は起こる
貧血があると、全身へ十分な酸素を運びにくくなるため、
-
疲れやすい
-
息切れ
-
動悸
-
倦怠感
-
集中力低下
などがみられます。
低テストステロンそのものが軽度の貧血に関係することもありますが、鉄欠乏や出血など別の原因で貧血が起きている場合もあります。
そのため、疲労感が強い場合には、血算を確認することが参考になります。
甲状腺機能異常でも似た症状が出る
甲状腺機能低下症では、
-
疲労感
-
眠気
-
気分の落ち込み
-
体重増加
-
寒がり
-
集中力低下
などがみられます。
これらも男性更年期とかなり似ています。
そのため、症状によってはTSHやFT4などを確認し、甲状腺疾患が隠れていないか評価することが重要です。
ストレスやうつ状態でも「やる気が出ない」
仕事や家庭でのストレスが強い場合、
-
やる気が出ない
-
疲れやすい
-
集中できない
-
性欲が落ちる
-
眠れない
といった症状が出ることがあります。
うつ病や不安障害でも同様です。
そのため、
「やる気が出ない=テストステロン不足」
と単純に考えることはできません。
特に、
-
強い気分の落ち込み
-
何をしても楽しめない
-
強い不安
-
食欲や睡眠の大きな変化
などがある場合には、精神面の評価も必要です。
糖尿病や慢性疾患も確認する
糖尿病や慢性肝疾患、腎疾患などでも、慢性的な疲労感がみられることがあります。
また、肥満や2型糖尿病は低テストステロンとも関連しています。
そのため、
糖代謝異常による疲労感なのか
低テストステロンが関係しているのか
その両方なのか
を考える必要があります。
疲労感だけなら、男性更年期とは限らない
男性更年期を考えるうえで、疲労感は重要な症状ではあります。
しかし、
疲労感だけ
の場合には、テストステロン低下との関連は判断しにくくなります。
一方で、
疲労感
+
性欲低下
+
朝立ちの減少
のように性機能症状も一緒にある場合には、テストステロンを確認する意義が高くなります。
また、
疲労感
+
日中の強い眠気
+
大きないびき
という場合には、SASをより強く疑います。
つまり大切なのは、疲労感そのものではなく、何と一緒に出ているかです。
「年齢のせい」で済ませないことも大切
40代、50代になると、
「年齢的に疲れやすくなるのは普通だろう」
と思ってしまうことがあります。
もちろん加齢による変化はあります。
しかし、疲労感の背景に、
-
睡眠時無呼吸症候群
-
糖尿病
-
貧血
-
甲状腺疾患
-
低テストステロン
など、治療や改善が可能な原因が隠れていることもあります。
そのため、以前と比べて明らかに疲れやすくなった状態が続く場合には、単純に年齢のせいと決めつけず、一度原因を整理することが大切です。
イライラ・気分の落ち込み・集中力低下
男性更年期では、身体症状や性機能症状だけでなく、精神・認知面の変化がみられることがあります。
例えば、
-
イライラしやすくなった
-
気分が落ち込みやすい
-
以前よりやる気が出ない
-
集中力が続かない
-
頭がぼんやりする
-
仕事の効率が落ちた気がする
といった症状です。
Endocrine Societyでは、男性性腺機能低下症にみられる症状として、イライラ、集中困難、抑うつ気分などを挙げています。EAUの患者向け情報でも、気分変化や集中力低下は成人男性の性腺機能低下症でみられる症状として紹介されています。
ただし、こうした症状は男性更年期だけに特有のものではありません。
イライラしやすくなることがある
男性更年期では、
「以前なら気にならなかったことで腹が立つ」
「家族や職場でイライラすることが増えた」
と感じることがあります。
低テストステロンと気分変化との関連は知られていますが、イライラには、
-
睡眠不足
-
過労
-
慢性的なストレス
-
不安
-
飲酒
-
人間関係
なども影響します。
そのため、イライラだけでテストステロン低下を判断することはできません。
特に睡眠不足が続いている場合には、疲労感・集中力低下・イライラが同時に起こることもあります。
気分の落ち込み
低テストステロンでは、抑うつ気分がみられることがあります。
例えば、
-
以前より気分が沈みやすい
-
活力がなくなった
-
物事に前向きになりにくい
といった変化です。
ただし、ここで重要なのは、
男性更年期とうつ病は同じものではない
ということです。
うつ病でも、
-
気分の落ち込み
-
意欲低下
-
疲労感
-
睡眠障害
-
集中力低下
-
性欲低下
などがみられるため、症状だけでは区別できないことがあります。
また、男性更年期とうつ状態が同時に存在している場合もあります。
2026年のEndocrine Societyの声明でも、低エネルギー、性欲低下、気分症状などは加齢男性でよくみられるものの原因は多様であり、症状だけで男性性腺機能低下症を診断することはできないと強調されています。
集中力が続かない・頭がぼんやりする
男性更年期の相談では、
「以前より集中できなくなった」
「仕事中に頭がぼんやりする」
「物事を考えるのに時間がかかる」
と感じる方もいます。
集中力低下は、男性性腺機能低下症でみられる症状の一つです。
ただし、集中力は非常に多くの要因に左右されます。
例えば、
-
睡眠不足
-
睡眠時無呼吸症候群
-
過労
-
ストレス
-
不安
-
うつ状態
-
飲酒
-
一部の薬剤
などでも低下します。
そのため、「集中できないからテストステロンが低い」と単純に考えることはできません。
「やる気が出ない」と「性欲がない」は少し違う
男性更年期では、一般的な意欲低下と性欲低下が同時にみられることがあります。
ただし、この2つは分けて考えることが重要です。
例えば、
仕事へのやる気は落ちたが、性欲は変わっていない
という場合と、
仕事への意欲も性欲も同時に低下している
という場合では、考える背景が少し異なります。
後者のように、精神・認知症状に加えて性欲低下や朝立ちの減少などがある場合には、テストステロン低下を評価する意義が高くなります。
強い精神症状は男性更年期だけで説明しない
気分症状が強い場合には特に注意が必要です。
例えば、
-
強い抑うつ気分が続いている
-
何をしても楽しいと感じない
-
日常生活や仕事に大きな支障が出ている
-
強い不安や焦燥感がある
といった場合には、男性更年期だけでなく、精神疾患を含めた評価が必要です。
男性更年期と精神疾患は「どちらか一方」という関係ではなく、両方が重なっている可能性もあります。
そのため、テストステロンだけに原因を求めないことが重要です。
TRTをすれば気分や集中力は必ず改善する?
テストステロン補充療法(TRT)によって、エネルギーや気分などが改善する男性もいます。
しかし、精神・認知症状への効果は、性欲などの性機能症状ほど一貫しているわけではありません。
Endocrine Societyは、適切に診断された男性性腺機能低下症ではTRTによる症状改善が期待できるとしていますが、同時に、診断には症状だけでなく一貫して低いテストステロン値が必要としています。
つまり、
「気分が落ちるからTRT」
「集中力が低いからTRT」
と単純に治療を決めるものではありません。
症状の背景に睡眠不足やストレス、うつ状態などがないかを確認し、テストステロン値と合わせて判断します。
精神・認知症状は「性機能症状が一緒にあるか」も重要
イライラ、気分の落ち込み、集中力低下だけでは、男性更年期かどうかを判断するのは難しくなります。
一方で、
集中力低下
+
活力低下
+
性欲低下
+
朝立ちの減少
のように、性機能症状も一緒に現れている場合には、テストステロン低下を含めた評価を考えやすくなります。
男性更年期では、精神症状だけを切り取るのではなく、
性機能
身体症状
睡眠
生活背景
まで含めて全体を見ることが重要です。
筋肉量低下・体脂肪増加・体型の変化
男性更年期では、性欲や気分だけでなく、身体の見た目や体組成の変化として現れることもあります。
例えば、
-
以前より筋肉が落ちた
-
筋力が低下した
-
お腹まわりに脂肪がつきやすくなった
-
体重は変わらないのに体型が崩れてきた
-
運動しても以前ほど身体が変わらない
といった変化です。
テストステロンは筋肉量の維持や脂肪分布に関係しているため、低テストステロンが続くと、除脂肪体重の減少や脂肪量の増加がみられることがあります。
ただし、こうした変化は加齢、運動不足、食生活、睡眠不足などでも起こるため、体型の変化だけで男性更年期と判断することはできません。
テストステロンは筋肉の維持に関係する
テストステロンには、筋肉量の維持に関わる作用があります。
そのため、低テストステロンでは、
-
筋肉量が減る
-
筋力が低下する
-
身体活動量が落ちる
といった変化がみられることがあります。
特に、
「以前と同じように運動しているのに筋肉がつきにくくなった」
「階段や運動が以前よりしんどい」
と感じる場合には、年齢や運動量だけでなく、ホルモン環境も一つの要因として考えることがあります。
一方で、加齢そのものでも筋肉量は減少します。
そのため、筋肉量低下があるからといって、必ずしもテストステロン低下が原因とは限りません。
体脂肪が増えやすくなることもある
低テストステロンでは、脂肪量が増加する方向に体組成が変化することがあります。
特に、
-
内臓脂肪が増える
-
お腹まわりが大きくなる
-
体脂肪率が上がる
といった変化がみられることがあります。
一方で、肥満そのものがテストステロン低下の原因になることもあります。
つまり、
テストステロン低下
↓
筋肉量低下・脂肪増加
↓
肥満・代謝異常
↓
さらにテストステロン低下
という悪循環が起こる可能性があります。
体重だけでは変化が分からないこともある
男性更年期では、体重がほとんど変わらなくても体組成が変化していることがあります。
例えば、
筋肉が減って脂肪が増えれば、体重が同じでも見た目や身体機能は変わります。
そのため、
「体重は変わっていないから大丈夫」
とは限りません。
必要に応じて、
-
筋肉量
-
体脂肪率
-
内臓脂肪
-
BMI
-
腹囲
などを確認することで、より詳しく身体の変化を把握できます。
肥満では総テストステロンが低く見えることがある
肥満がある男性では、SHBGが低下しやすく、総テストステロンが低く測定されることがあります。
そのため、肥満の男性で総テストステロンが低かった場合には、
「低い数値=すぐTRT」
と判断するのではなく、体組成や症状、必要に応じて他のホルモン検査も含めて考えることが重要です。
特に肥満が主な背景にある場合には、まず減量や運動によってテストステロン環境が改善することもあります。
運動不足との区別も必要
筋肉量低下や体脂肪増加は、運動不足でも起こります。
特に40代以降では、
-
仕事が忙しく運動量が減る
-
通勤や日常活動が少なくなる
-
筋力トレーニングをしなくなる
といった生活変化が重なりやすくなります。
そのため、男性更年期を考える場合でも、
最近の運動量がどう変わったか
を確認することが重要です。
TRTで筋肉量や体脂肪は改善する?
低テストステロンがある男性では、テストステロン補充療法(TRT)によって除脂肪体重が増加し、脂肪量が減少することがあります。
ただし、TRTだけで理想的な体型になるわけではありません。
筋肉量や体脂肪を改善するには、
-
筋力トレーニング
-
有酸素運動
-
適切な食事
-
十分な睡眠
なども重要です。
TRTは、運動や食事の代わりになる治療ではありません。
体組成の変化は「数値」で追うと分かりやすい
体型の変化は自分では気づきにくいことがあります。
そのため、
-
体重
-
BMI
-
体脂肪率
-
筋肉量
-
内臓脂肪
などを定期的に確認すると、変化を客観的に把握しやすくなります。
特に男性更年期の治療では、
テストステロン値だけでなく、症状や体組成がどう変化したか
を見ることが重要です。
治療前後で筋肉量や体脂肪率を比較することで、生活習慣改善や治療の効果を確認する一つの材料になります。
「年齢で体型が変わっただけ」と決めつけない
40代、50代になると、
「お腹が出るのは年齢のせい」
「筋肉が落ちるのは仕方がない」
と思うことがあります。
もちろん加齢も一つの要因です。
しかし、肥満、運動不足、睡眠障害、糖代謝異常、低テストステロンなどが重なっている場合もあります。
そのため、
筋肉量低下や体脂肪増加が、性欲低下や疲労感など他の症状と一緒にみられる場合には、一度全体を評価することが大切です。
睡眠障害・熟睡感の低下・日中の眠気
男性更年期では、
-
寝つきが悪い
-
夜中に何度も目が覚める
-
朝起きても疲れている
-
熟睡感がない
-
日中に眠い
といった睡眠に関する症状がみられることがあります。
ただし、睡眠の問題は男性更年期の「結果」として起こる場合もあれば、逆に睡眠障害そのものが男性更年期に似た症状を引き起こしている場合もあります。
そのため、睡眠症状がある場合には、単に「男性更年期の一症状」と考えるのではなく、睡眠そのものを評価することが重要です。
テストステロンと睡眠には関係がある
テストステロン分泌には日内変動があり、睡眠とも関係しています。
一般的にテストステロンは朝に高く、夜に低くなる傾向があります。
また、睡眠が十分に取れていない場合や睡眠の質が悪い場合には、テストステロン分泌に影響する可能性があります。
一方で、低テストステロンの男性では睡眠障害がみられることもあり、両者は互いに影響し合う可能性があります。
「寝ても疲れが取れない」は睡眠の質が悪いサインかも
睡眠時間を十分に確保していても、
「朝起きた時点で疲れている」
「昼間に眠くなる」
「集中力が続かない」
という場合があります。
このような場合は、睡眠時間だけでなく睡眠の質に問題がある可能性があります。
特に、夜間に何度も目が覚めていたり、睡眠中に呼吸が止まっていたりすると、本人は長く眠っているつもりでも十分な休息が取れていないことがあります。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)には注意
中高年男性で特に重要なのが、**睡眠時無呼吸症候群(SAS)**です。
SASでは、睡眠中に気道が狭くなり、呼吸が繰り返し止まることで睡眠の質が大きく低下します。
その結果、
-
日中の強い眠気
-
朝の頭痛
-
疲労感
-
集中力低下
-
活力低下
-
ED
などが起こることがあります。
これらは男性更年期の症状とかなり重なります。
そのため、
いびきが大きい
睡眠中に無呼吸を指摘された
日中の眠気が強い
肥満がある
といった場合には、男性更年期だけでなくSASの評価も重要です。
SASとテストステロン低下が重なることもある
睡眠時無呼吸症候群では、睡眠の断片化や低酸素、肥満など複数の要因を通じて、低テストステロンを伴うことがあります。
そのため、
SASによる疲労感
+
低テストステロンによる症状
が同時に存在しているケースも考えられます。
こうした場合には、テストステロンだけを治療するのではなく、睡眠時無呼吸症候群そのものを治療することが重要です。
強いいびきや日中の眠気があるなら睡眠評価を優先することも
例えば、
疲労感+性欲低下+ED
だけであれば、テストステロン評価を考えやすい症状の組み合わせです。
一方で、
疲労感+日中の強い眠気+大きないびき
という組み合わせでは、SASを強く疑います。
実際には両方が重なっていることもあるため、症状の組み合わせから優先して調べるものを考えることが大切です。
TRTとSASの関係
テストステロン補充療法(TRT)を検討する際にも、睡眠時無呼吸症候群は重要です。
重症の未治療閉塞性睡眠時無呼吸症候群がある場合には、TRT開始に慎重になる必要があります。
そのため、TRTを考える場合には、
-
いびき
-
無呼吸
-
日中の眠気
-
肥満
-
睡眠の質
などを確認しておくことが大切です。
睡眠が改善すると男性更年期に似た症状も改善することがある
睡眠不足やSASが症状の大きな原因だった場合、睡眠を改善することで、
-
疲労感
-
日中の眠気
-
集中力低下
-
活力低下
-
ED
などが改善することがあります。
つまり、男性更年期の症状があるからといって、必ずしもTRTが最初の治療になるわけではありません。
睡眠の問題が大きい場合には、まず睡眠を整えることが重要です。
睡眠症状は「男性更年期だから」と片づけない
睡眠障害は、男性更年期でみられる症状の一つです。
しかし同時に、男性更年期に非常によく似た症状を引き起こす原因でもあります。
そのため、
「眠れないから男性更年期」
「疲れるからテストステロンが低い」
と単純に考えず、
睡眠そのものに問題がないか
を確認することが大切です。
特に、いびきや無呼吸、強い日中の眠気がある場合には、睡眠時無呼吸症候群も含めた評価を検討するとよいでしょう。
ほてり・発汗・関節や筋肉の不調
男性更年期では、性機能や疲労感だけでなく、ほてり・発汗・関節や筋肉の不調など、身体的な症状がみられることもあります。
女性の更年期ほど一般的に知られてはいませんが、男性でもテストステロンが大きく低下した場合には、
-
ほてり
-
発汗
-
寝汗
-
身体の熱感
などがみられることがあります。
また、
-
筋肉のだるさ
-
関節の違和感
-
身体が重い感じ
などを訴えることもあります。
ただし、これらの症状も男性更年期に特有ではありません。
甲状腺疾患、感染症、薬剤、ストレス、自律神経の変化、整形外科的な疾患などでも起こるため、症状の特徴を整理して考える必要があります。
男性でもほてりや発汗が起こることがある
「更年期のほてり」というと女性をイメージする方が多いかもしれません。
しかし、男性でもアンドロゲンが大きく低下すると、血管運動症状としてほてりや発汗がみられることがあります。
例えば、
-
急に身体が熱くなる
-
顔や上半身がほてる
-
特に理由なく汗が出る
-
夜中に汗をかいて目が覚める
といった症状です。
こうした症状は、前立腺がん治療などで強く男性ホルモンを低下させた場合にもよく知られています。
一方、一般的な男性更年期の相談では、性欲低下や疲労感ほど頻繁にみられる症状ではありません。
そのため、ほてりや発汗が強い場合には、男性更年期以外の原因も確認することが重要です。
ほてり・発汗は他の病気でも起こる
ほてりや発汗の原因には、
-
甲状腺機能亢進症
-
感染症
-
低血糖
-
一部の薬剤
-
飲酒
-
不安やパニック症状
-
自律神経の変化
などがあります。
特に、
-
動悸
-
手の震え
-
明らかな体重減少
-
発熱
-
夜間の強い発汗
などがある場合には、単純に男性更年期と考えない方がよい場合があります。
筋肉のだるさ・筋力低下
テストステロンは筋肉量や筋機能に関係しています。
そのため低テストステロンでは、
-
筋力の低下
-
筋肉量の減少
-
身体のだるさ
-
運動能力の低下
などがみられることがあります。
ただし、「筋肉が痛い」「身体が重い」といった症状はかなり非特異的です。
運動不足、過度な運動、睡眠不足、慢性疼痛、整形外科疾患などでも起こります。
そのため、筋肉の不調だけで男性更年期と判断することはできません。
関節痛は男性更年期特有の症状ではない
男性更年期に関する問診票では、関節や筋肉の痛みなどが質問項目に含まれることがあります。
ただし、関節痛そのものは低テストステロンに特異的な症状ではありません。
例えば、
-
変形性関節症
-
腰痛
-
肩こり
-
スポーツや仕事による負荷
-
炎症性疾患
などの方が、関節痛の原因として一般的です。
そのため、関節痛が強い場合には、男性更年期の一症状として片づけず、痛みの部位や経過、腫れの有無などを確認する必要があります。
骨が弱くなっても自覚症状がないことが多い
テストステロンは骨の維持にも関係しています。
長期間にわたって低テストステロンが続くと、骨密度が低下することがあります。
ただし、骨密度低下は、
「骨が弱くなってきた」と本人が感じる症状ではありません。
骨折するまで気づかないこともあります。
そのため、明らかな性腺機能低下症が長期間続いている場合や、骨粗しょう症のリスクがある場合には、必要に応じて骨の評価も考えます。
身体症状だけで男性更年期を判断するのは難しい
ほてり、発汗、関節痛、筋肉のだるさなどは、男性更年期でもみられることがあります。
しかし、これらは性欲低下や朝立ちの減少などに比べると、テストステロン低下に特異的ではありません。
そのため、
ほてりだけ
関節痛だけ
発汗だけ
の場合には、まず他の原因を考えることが重要です。
一方で、
ほてりや発汗
+
性欲低下
+
朝立ちの減少
+
疲労感
のように、複数の男性更年期症状が重なっている場合には、テストステロンを含めた評価を考えやすくなります。
男性更年期の身体症状は幅広いため、一つの症状だけで判断せず、全体の組み合わせを見ることが大切です。
症状のセルフチェック|AMSスコアはどこまで役立つ?
男性更年期が気になるとき、「自分の症状がどのくらい男性更年期らしいのか」を知るために、問診票を使うことがあります。
代表的なのが、**AMSスコア(Aging Males' Symptoms scale)**です。
AMSスコアでは、身体症状・精神症状・性機能症状などを複数の質問で評価し、症状の程度を点数化します。
男性更年期の症状を整理するうえでは便利ですが、AMSスコアだけでLOH症候群や低テストステロンを診断することはできません。
AMSスコアとは?
AMSスコアは、中高年男性にみられる症状を評価するために作られた質問票です。
主に、
-
身体症状
-
精神・心理症状
-
性機能症状
について質問し、それぞれの症状の強さを点数化します。
例えば、
-
疲れやすい
-
イライラする
-
気分が落ち込む
-
睡眠に問題がある
-
筋力が落ちた
-
性欲が低下した
-
勃起機能が低下した
といった項目があります。
そのため、自分では漠然としていた症状を整理するには役立ちます。
点数が高い=テストステロンが低い、ではない
ここで最も重要なのは、
AMSスコアが高いからといって、必ずテストステロンが低いわけではない
という点です。
AMSに含まれる症状の多くは、
-
睡眠不足
-
ストレス
-
うつ状態
-
肥満
-
糖尿病
-
甲状腺疾患
-
慢性疾患
などでも起こります。
そのため、AMSスコアは「症状の強さ」を見るためのツールであり、テストステロン値を予測する検査ではありません。
低い点数なら男性更年期ではない?
反対に、AMSスコアが低ければ男性更年期を完全に否定できるわけでもありません。
例えば、
性欲低下や朝立ちの減少がはっきりしている
一方で、疲労感や気分症状が少ない場合には、総合点がそれほど高くならないこともあります。
そのため、スコアだけで判断するのではなく、どの項目に症状が集中しているかを見ることも重要です。
AMSスコアは治療前後の比較に役立つ
AMSスコアの使い方として有用なのが、治療前後の変化を見ることです。
例えば、
-
生活習慣改善
-
睡眠治療
-
ED治療
-
TRT
などを開始したあとに、同じ質問票をもう一度行うことで、症状がどの程度変化したかを比較できます。
本人の「なんとなく良くなった」という感覚だけでなく、一定の方法で症状を追えるという点にメリットがあります。
セルフチェックで見るなら「症状の組み合わせ」が大切
自宅で男性更年期をセルフチェックするときも、単純に症状の数を数えるだけでは十分ではありません。
例えば、
性欲低下
+
朝立ちの減少
+
ED
がある場合には、テストステロン低下を評価する意義が高くなります。
一方で、
疲労感
+
日中の眠気
+
いびき
が目立つ場合には、睡眠時無呼吸症候群の可能性も考える必要があります。
また、
気分の落ち込み
+
何をしても楽しくない
+
睡眠や食欲の大きな変化
がある場合には、男性更年期だけでなく精神疾患を含めた評価が必要です。
こんな症状が複数あるなら、一度評価を考えてもよい
男性更年期を疑う一つの目安として、
-
性欲が以前より明らかに落ちた
-
朝立ちが減った
-
EDが気になる
-
疲れやすくなった
-
活力や意欲が落ちた
-
筋力が低下した
-
体脂肪が増えた
-
睡眠の質が悪くなった
といった変化が複数重なっている場合には、テストステロンを含めた評価を検討する価値があります。
特に、性機能症状と全身症状が一緒にある場合は、男性更年期を考えるうえで参考になります。
セルフチェックは「診断」ではなく「受診のきっかけ」
男性更年期のセルフチェックで大切なのは、
自分で診断をつけることではありません。
問診票や症状チェックは、
「一度詳しく調べてみようかな」
と考えるためのきっかけとして使うのが適切です。
男性更年期の診断には、症状の内容だけでなく、
テストステロン値
生活習慣
睡眠
体組成
基礎疾患
などを含めた総合的な評価が必要です。
AMSスコアは便利なツールですが、症状を整理するための補助的な指標として考えるのがよいでしょう。
どの症状なら受診・テストステロン検査を考える?
男性更年期の症状は幅広いため、
「どの程度なら病院に行った方がいいのか」
「疲れているだけでもテストステロンを測るべきなのか」
と迷う方も少なくありません。
結論からいうと、一つの症状だけで決めるのではなく、症状の組み合わせや持続期間、生活への影響をみて判断するのがよいでしょう。
特に、性欲低下や朝立ちの減少などの性機能症状に、疲労感や活力低下などが重なっている場合には、テストステロンを含めた評価を検討しやすくなります。
性欲低下が続いている場合
テストステロン低下を考えるうえで、比較的重要な症状が性欲低下です。
例えば、
-
以前より明らかに性欲が落ちた
-
性的な関心が減った
-
性行為をしたいと思うことが少なくなった
といった変化が続いている場合には、一度テストステロンを確認する選択肢があります。
特に、
性欲低下+朝立ちの減少
や、
性欲低下+ED
がある場合には、男性更年期や男性性腺機能低下症を考える材料になります。
朝立ちが明らかに減った場合
朝立ちは睡眠や血管機能、神経、ホルモンなどの影響を受けます。
そのため、
「以前はよくあったのに、最近ほとんどない」
という変化がある場合には、身体的な要因を確認する一つのきっかけになります。
ただし、睡眠不足や睡眠時無呼吸症候群でも朝立ちは減るため、睡眠状態も一緒に確認することが重要です。
EDに加えて他の症状がある場合
ED単独であれば、血管性や心理的な原因などもよくあります。
一方で、
-
ED
-
性欲低下
-
朝立ちの減少
-
疲労感
-
活力低下
などが重なっている場合には、テストステロン評価を検討する意義が高くなります。
特に、ED治療薬を使っても十分な効果が得られない場合や、勃起だけでなく性欲そのものが落ちている場合には、ホルモン評価が参考になることがあります。
疲労感や活力低下が長く続く場合
疲労感だけでは男性更年期とは言えません。
ただし、
-
以前と比べて明らかに疲れやすくなった
-
数週間から数か月続いている
-
休んでも改善しない
-
仕事や日常生活に支障が出ている
といった場合には、一度原因を調べることを考えてもよいでしょう。
このときはテストステロンだけでなく、
-
貧血
-
甲状腺機能
-
糖代謝
-
睡眠
-
ストレス
なども合わせて評価することが重要です。
筋力低下や体型の変化が目立つ場合
以前より、
-
筋肉が落ちた
-
筋力が低下した
-
体脂肪が増えた
-
お腹まわりに脂肪がついた
と感じる場合にも、他の症状と合わせて評価します。
特に、
筋力低下+性欲低下
や、
体脂肪増加+疲労感+ED
のように複数の変化がある場合には、体組成やテストステロンを含めて確認する意味があります。
40代以降で複数の変化が出てきた場合
男性更年期は40代以降で相談が増えますが、
40歳を超えたら全員検査を受けるべき
というわけではありません。
一方で、
-
性欲低下
-
ED
-
疲労感
-
活力低下
-
筋力低下
-
睡眠の変化
など、以前にはなかった症状が複数出てきた場合には、一度男性ホルモンを含めて評価する選択肢があります。
年齢だけではなく、
年齢+症状+生活背景
で考えることが大切です。
若い男性でも検査を考えることはある
男性更年期という名前から、中高年だけの問題と思われがちです。
しかし、低テストステロンは若い男性でも起こることがあります。
例えば、
-
精巣の病気や外傷
-
下垂体・視床下部の病気
-
強い肥満
-
一部の薬剤
-
アナボリックステロイドや外因性テストステロンの使用
などがある場合です。
若い男性でも、
明らかな性欲低下やED、疲労感などが持続する場合
には、必要に応じてホルモン評価を考えます。
強いいびきや日中の眠気がある場合はSAS評価も
疲労感やEDがあっても、
-
大きないびき
-
睡眠中の無呼吸
-
日中の強い眠気
-
肥満
がある場合には、睡眠時無呼吸症候群が症状に関係している可能性があります。
この場合は、
テストステロンだけを測るのではなく、睡眠評価も同時に考える
ことが重要です。
強い気分の落ち込みがある場合は精神面の評価も必要
男性更年期では気分の落ち込みや意欲低下がみられることがあります。
一方で、
-
何をしても楽しめない
-
強い抑うつ気分が続く
-
日常生活に大きな支障がある
-
強い不安や焦燥感がある
といった場合には、男性更年期だけで説明しようとせず、精神科・心療内科的な評価も必要になることがあります。
「症状が軽いから相談してはいけない」わけではない
男性更年期の診療では、
「まだ治療するほどではないと思う」
という段階でも相談できます。
例えば、
「最近性欲が落ちてきたので、一度テストステロンを知りたい」
「疲れやすくなったけれど、年齢のせいなのか確認したい」
という相談でも問題ありません。
検査を受けたからといって、必ずTRTを始めるわけではありません。
まずは現在の状態を知り、必要な対策を考えることが目的です。
受診の目安は「症状が続く・重なる・生活に影響する」
男性更年期について受診を考える一つの目安は、
症状が続いている
+
複数の症状が重なっている
+
生活に影響が出ている
という場合です。
特に、
性欲低下
朝立ちの減少
ED
などの性機能症状に、
疲労感
活力低下
筋力低下
などが加わっている場合には、テストステロンを含めて一度評価してみてもよいでしょう。
一方で、症状の背景には男性更年期以外の原因が隠れていることもあります。
そのため、重要なのは「男性更年期かどうかを自分で決めること」ではなく、症状の原因を整理するために受診することです。
男性更年期の症状があるとき、実際に何を調べる?
男性更年期が疑われる場合、中心になる検査はテストステロン測定です。
ただし、実際にはテストステロンだけを測れば十分というわけではありません。
男性更年期に似た症状は、睡眠障害、貧血、甲状腺疾患、糖尿病、肥満、精神的ストレスなどでも起こります。
そのため、症状に応じて、
-
テストステロン
-
血算
-
血糖・HbA1c
-
甲状腺機能
-
肝機能・腎機能
-
必要に応じてLH、FSH、プロラクチン
-
TRTを検討する場合はPSAなど
を確認します。
テストステロンは朝に測る
テストステロンには日内変動があり、一般的には朝に高く、夜に低くなります。
そのため、男性性腺機能低下症の評価では、早朝の採血が基本になります。
海外の主要ガイドラインでは、朝・空腹時の総テストステロン測定が推奨され、低値だった場合には別の日に再検査することが基本です。
つまり、
午後や夜に1回低かっただけで、すぐに「男性更年期」と判断するわけではありません。
採血時間、食事、睡眠、体調なども確認しながら結果を解釈します。
総テストステロンと遊離テストステロン
テストステロンには、
-
総テストステロン(TT)
-
遊離テストステロン(FT)
があります。
日本ではLOH症候群の評価に遊離テストステロンが用いられることがありますが、海外では総テストステロンを基本に評価するのが一般的です。
また、肥満や加齢などによってSHBGが変化すると、総テストステロンだけではホルモン状態を正確に反映しにくい場合があります。
そのため、症状や背景によっては、総テストステロンだけでなく遊離テストステロンやSHBGも参考にします。
低値ならLH・FSHなどで原因を考える
テストステロンが明らかに低い場合には、
なぜ低いのか
を調べることが重要です。
その際に参考になるのが、
-
LH
-
FSH
です。
これらを確認することで、精巣そのものの機能低下なのか、視床下部・下垂体側の問題なのかを考えることができます。
必要に応じてプロラクチンなどを追加することもあります。
疲労感が強い場合は他の検査も重要
疲労感や活力低下が強い場合には、
-
貧血
-
甲状腺機能異常
-
糖尿病
-
肝機能・腎機能異常
なども確認します。
特に疲労感は男性更年期だけに特有ではないため、テストステロンが正常でも他の原因が見つかることがあります。
体組成も参考になる
筋肉量低下や体脂肪増加が気になる場合には、
-
体重
-
BMI
-
腹囲
-
体脂肪率
-
筋肉量
などを確認することも有用です。
体重が変わっていなくても、筋肉が減って脂肪が増えていることがあります。
男性更年期では、テストステロン値だけでなく、こうした体組成の変化を合わせてみることで全体像を把握しやすくなります。
睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は睡眠評価も
いびき、無呼吸、日中の眠気が強い場合には、SASの評価も重要です。
男性更年期とSASは症状がかなり似ており、両方が重なっているケースもあります。
そのため、
疲労感+ED+日中の眠気
のような場合には、テストステロンだけでなく睡眠状態も確認した方がよいでしょう。
TRTを考える場合は治療前評価も必要
テストステロン補充療法を検討する場合には、治療前に安全性を確認します。
代表的には、
-
ヘモグロビン
-
ヘマトクリット
-
PSA
-
妊娠希望の有無
-
睡眠時無呼吸症候群
-
心血管疾患の状態
などです。
TRTは有効な治療選択肢の一つですが、誰にでも行うものではありません。
男性更年期の検査は「原因を探すための検査」
男性更年期の検査というと、
「テストステロンが低いか高いかを調べる」
というイメージが強いかもしれません。
しかし実際には、
症状の原因を整理し、他の病気がないか確認し、必要なら安全に治療するために行う評価
と考える方が正確です。
テストステロン値だけではなく、症状、睡眠、体組成、生活習慣、基礎疾患などを総合的に確認することが重要です。
男性更年期の症状は治療でどこまで改善する?
男性更年期の症状があると、
「治療すれば元の状態に戻るのか」
「テストステロン補充療法をすれば、すべての症状が改善するのか」
と気になる方も多いと思います。
結論からいうと、改善しやすい症状と、効果に個人差が大きい症状があります。
また、症状の原因が本当にテストステロン低下なのか、それとも睡眠障害、肥満、ストレス、糖尿病など他の要因なのかによっても治療効果は大きく変わります。
そのため、男性更年期の治療では、
「テストステロン値を上げること」ではなく、「その人の症状を改善すること」
を目標にすることが重要です。
性欲低下は比較的改善を期待しやすい
テストステロン低下がある男性では、性欲低下はTRTによる改善が比較的期待しやすい症状の一つです。
低テストステロン男性を対象とした臨床試験でも、テストステロン治療によって性的活動や性欲が改善することが報告されています。
そのため、
性欲が以前より明らかに低下している
+
テストステロンも低い
という場合には、TRTによる改善を期待しやすくなります。
ただし、性欲にはストレス、睡眠、パートナーとの関係、精神状態なども影響します。
テストステロンが正常で、別の要因が主な原因の場合には、TRTを行っても期待した効果が得られない可能性があります。
EDは改善する場合もあるが、TRTだけで十分とは限らない
低テストステロンがある男性では、TRTによって勃起機能が改善することがあります。
ただし、EDはテストステロンだけで決まる症状ではありません。
勃起には、
-
血管
-
神経
-
糖尿病
-
高血圧
-
喫煙
-
心理状態
など多くの要因が関係しています。
そのため、
性欲は改善したが、EDは残る
ということもあります。
このような場合には、シルデナフィルやタダラフィルなどのED治療薬を併用することがあります。
男性更年期とEDが重なっている場合には、
TRTでホルモン環境を整える治療
と、
ED治療薬で勃起を改善する治療
を分けて考えることが重要です。
朝立ちは改善することがある
低テストステロンが原因の一部になっている場合には、TRTによって朝の自然な勃起が改善することがあります。
朝立ちは、テストステロンだけでなく睡眠の質とも関係しています。
そのため、SASや睡眠不足がある場合には、睡眠治療を行うことでも改善する可能性があります。
つまり、
朝立ちが改善した=TRTだけの効果
とは限りません。
睡眠や生活習慣を含めて改善していくことが重要です。
疲労感や活力低下は効果に個人差がある
TRTによって、
「以前より元気になった」
「活動しやすくなった」
と感じる男性もいます。
一方で、疲労感や活力低下に対するTRTの効果は、性欲などに比べると一貫性が低いことが知られています。
疲労感には、
-
睡眠不足
-
SAS
-
貧血
-
甲状腺機能異常
-
ストレス
-
うつ状態
-
運動不足
など多くの原因があるためです。
そのため、テストステロン値が改善していても疲労感が残る場合には、他の原因を再評価する必要があります。
気分や集中力への効果は限定的なこともある
気分の落ち込みや集中力低下が、低テストステロンと関係している場合には、TRTによって改善する人もいます。
ただし、
TRTをすれば気分や集中力が必ず改善する
というわけではありません。
特に、うつ病や不安障害、慢性的なストレス、睡眠障害が主な原因の場合には、それぞれに対する治療が必要です。
精神・認知症状については、テストステロンだけに治療効果を期待しすぎないことも大切です。
筋肉量や体組成は時間をかけて変化する
低テストステロン男性では、TRTによって、
-
除脂肪体重の増加
-
筋肉量の増加
-
脂肪量の減少
などがみられることがあります。
ただし、こうした身体的な変化は、性欲などと比べて時間がかかります。
さらに、運動や食事も大きく影響します。
TRTを開始しても運動量が少なく、食生活も変わらなければ、体組成の改善は限定的になる可能性があります。
そのため、
TRT+筋力トレーニング+適切な食事
を組み合わせる方が、身体の変化を得やすくなります。
睡眠症状は原因によって治療が変わる
睡眠が悪い場合、
-
低テストステロン
-
睡眠時無呼吸症候群
-
睡眠不足
-
ストレス
-
飲酒
など、原因によって治療が異なります。
SASがある場合には、TRTよりもまずSASそのものの治療が重要です。
CPAPなどによって睡眠の質が改善すれば、
-
日中の眠気
-
疲労感
-
集中力
-
ED
などが改善することがあります。
生活習慣の改善だけで症状が良くなることもある
男性更年期の治療は、TRTだけではありません。
特に、
-
肥満
-
運動不足
-
睡眠不足
-
過度な飲酒
などが背景にある場合には、生活習慣を改善することで症状やホルモン環境が改善することがあります。
例えば、
減量によってテストステロン値が改善する
男性もいます。
そのため、テストステロンが低かったからといって、全員がすぐTRTを開始する必要があるわけではありません。
症状が改善しない場合は原因を見直す
TRTを行ってテストステロン値が十分改善しているにもかかわらず、
-
疲労感が変わらない
-
気分が改善しない
-
EDが改善しない
という場合があります。
そのとき重要なのは、
「もっとテストステロンを増やせばよい」と考えないこと
です。
テストステロンが適切な範囲にあるにもかかわらず症状が改善しない場合には、
-
睡眠障害
-
精神的要因
-
血管性ED
-
甲状腺疾患
-
その他の慢性疾患
などを再評価する必要があります。
治療効果は「数値」ではなく「症状」で確認する
TRTを開始すると、どうしてもテストステロン値に目が向きがちです。
しかし、治療の目的は、
テストステロンの数字を高くすることではありません。
本当に重要なのは、
-
性欲が改善したか
-
EDや朝立ちはどう変わったか
-
疲労感が減ったか
-
活力が戻ったか
-
筋力や体組成が改善したか
-
日常生活の質が良くなったか
という点です。
テストステロン値が正常化していても、症状がまったく改善していなければ、治療方針を見直す必要があります。
反対に、症状が改善しているのであれば、その変化を客観的に確認しながら治療を続けることが重要です。
男性更年期の治療は「原因に合わせる」ことが大切
男性更年期の症状は、複数の原因が重なって起こることがあります。
例えば、
低テストステロン
+
肥満
+
SAS
+
ED
が同時に存在するケースもあります。
この場合には、
-
TRT
-
減量
-
SAS治療
-
ED治療
を組み合わせることがあります。
つまり、男性更年期の治療では、
「この薬を使えば全部治る」という一つの治療ではなく、症状の原因に合わせて必要な治療を組み合わせること
が重要です。
男性更年期の症状と似ている病気
男性更年期では、
-
疲労感
-
性欲低下
-
ED
-
気分の落ち込み
-
イライラ
-
集中力低下
-
睡眠障害
-
筋力低下
など、非常に幅広い症状がみられます。
しかし、これらは男性更年期だけに特有の症状ではありません。
実際には、ほかの病気でもよく似た症状が出るため、「男性更年期かもしれない」と思って受診した結果、別の原因が見つかることもあります。
そのため、男性更年期の評価では、テストステロンだけでなく、症状に応じて他の病気も考えることが重要です。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)
男性更年期と特に症状が重なりやすいのが、睡眠時無呼吸症候群です。
SASでは、
-
日中の強い眠気
-
疲労感
-
集中力低下
-
朝のだるさ
-
ED
などがみられます。
特に、
-
大きないびき
-
睡眠中の無呼吸
-
肥満
-
起床時の頭痛
などがある場合には、SASを疑います。
男性更年期とSASは同時に存在することもあるため、どちらか一方だけを考えるのではなく、両方を評価することが大切です。
うつ病・不安障害
うつ病や不安障害でも、
-
気分の落ち込み
-
やる気の低下
-
疲労感
-
集中力低下
-
睡眠障害
-
性欲低下
などがみられます。
これらは男性更年期と非常によく似ています。
特に、
-
何をしても楽しめない
-
強い落ち込みが続く
-
不安が強い
-
日常生活に大きな支障が出ている
といった場合には、精神面の評価も必要です。
男性更年期とうつ状態が同時に存在することもあるため、「どちらか一方」と単純に分けられない場合もあります。
甲状腺機能異常
甲状腺ホルモンは、全身の代謝やエネルギーに大きく関係しています。
甲状腺機能低下症では、
-
疲労感
-
眠気
-
体重増加
-
気分の落ち込み
-
集中力低下
-
性欲低下
などがみられます。
一方、甲状腺機能亢進症では、
-
動悸
-
発汗
-
不眠
-
体重減少
-
疲労感
などが出ることがあります。
症状が似ているため、必要に応じてTSHやFT4などを確認します。
貧血
貧血でも、
-
疲れやすい
-
息切れ
-
動悸
-
倦怠感
-
集中力低下
などがみられます。
低テストステロンそのものが軽度の貧血に関係することもありますが、鉄欠乏や消化管出血など別の原因がある場合もあります。
男性で明らかな貧血がある場合には、原因検索が必要になることがあります。
糖尿病
糖尿病では、
-
疲労感
-
倦怠感
-
ED
-
性機能低下
-
体重変化
などがみられることがあります。
また、肥満や2型糖尿病は低テストステロンとも関連しているため、
糖尿病による症状と低テストステロンが重なっている
場合もあります。
そのため、必要に応じて血糖値やHbA1cを確認します。
慢性肝疾患・腎疾患
肝臓や腎臓の慢性疾患でも、
-
疲労感
-
食欲低下
-
倦怠感
-
筋力低下
などがみられます。
慢性疾患そのものがホルモン環境に影響することもあるため、男性更年期を疑う場合でも、基礎疾患の有無を確認することが重要です。
薬剤の影響
服用している薬によって、
-
性欲低下
-
ED
-
疲労感
-
眠気
-
気分変化
などが起こることがあります。
また、一部の薬剤はテストステロン分泌そのものに影響する場合があります。
そのため、男性更年期の評価では、現在使用している薬だけでなく、過去のホルモン製剤やアナボリックステロイド使用歴なども確認します。
加齢や運動不足だけでも似た変化は起こる
筋肉量低下や体脂肪増加、体力低下などは、加齢や運動不足でも起こります。
そのため、
「筋肉が落ちたからテストステロンが低い」
「お腹が出てきたから男性更年期」
と判断することはできません。
むしろ、
-
性欲低下
-
朝立ちの減少
-
ED
-
疲労感
などが同時に出ているかを見ることが重要です。
男性更年期は「除外診断」だけではない
男性更年期は、ほかの病気をすべて除外してから最後に診断する、という単純なものではありません。
実際には、
男性更年期
+
睡眠時無呼吸症候群
あるいは、
低テストステロン
+
糖尿病
+
肥満
のように、複数の問題が同時に存在することがあります。
そのため、診療では、
どれか一つに決めるのではなく、症状に関係している要因を一つずつ整理すること
が重要です。
「男性更年期と思っていたら別の病気だった」を避けるために
男性更年期の症状は幅広く、他の病気とも重なります。
だからこそ、
自己判断で「男性更年期だろう」と決めつけないこと
が大切です。
性欲低下や朝立ちの減少など、テストステロン低下を考えやすい症状がある場合にはホルモン評価を行い、疲労感や眠気が強い場合には睡眠や貧血、甲状腺なども確認します。
男性更年期を正しく評価するということは、単にテストステロンを測ることではなく、似た症状を起こすほかの原因も含めて全体をみることです。
まとめ
男性更年期では、症状が一つだけ現れるとは限りません。
代表的には、
-
性欲低下
-
ED
-
朝立ちの減少
-
疲労感
-
活力低下
-
イライラ
-
気分の落ち込み
-
集中力低下
-
筋力低下
-
体脂肪の増加
-
睡眠の質の低下
などがみられます。
この中でも、性欲低下や朝立ちの減少などの性機能症状は、疲労感や気分症状に比べるとテストステロン低下を考える手がかりになりやすい症状です。
一方で、疲労感、イライラ、集中力低下、睡眠障害などは、男性更年期だけに特有のものではありません。
睡眠不足、睡眠時無呼吸症候群、貧血、甲状腺疾患、糖尿病、うつ病、ストレスなどでも、よく似た症状がみられます。
そのため、
「疲れやすいから男性更年期」
「EDがあるからテストステロンが低い」
と、一つの症状だけで判断することはできません。
男性更年期を考えるときに重要なのは、
どの症状があるか
+
どの症状が一緒に出ているか
+
どのくらい続いているか
+
生活習慣や基礎疾患はどうか
を整理することです。
例えば、
性欲低下+朝立ちの減少+ED
という組み合わせであれば、テストステロン低下を含めた評価を考えやすくなります。
一方で、
疲労感+日中の眠気+大きないびき
が目立つ場合には、睡眠時無呼吸症候群の評価も重要です。
また、男性更年期の治療はテストステロン補充療法(TRT)だけではありません。
原因や症状に応じて、
-
睡眠の改善
-
減量
-
運動
-
ED治療
-
基礎疾患の治療
-
必要に応じたTRT
を組み合わせます。
男性更年期の症状は「年齢のせい」と見過ごされることがあります。
しかし、背景を調べることで、改善できる原因が見つかることもあります。
性欲低下、ED、疲労感、活力低下などが続いている場合には、自己判断で決めつけず、テストステロンを含めて一度身体の状態を確認することが大切です。
医師からひとこと
男性更年期の症状は、とても幅があります。
実際には「性欲が落ちた」「EDがある」といった性機能の変化だけではなく、疲れやすさ、集中力の低下、睡眠の問題、体型の変化などをきっかけに相談される方もいます。
ただし、こうした症状のすべてを男性更年期だけで説明できるわけではありません。
特に、疲労感や日中の眠気が強い場合には睡眠時無呼吸症候群、気分の落ち込みが強い場合には精神的な要因、体重増加が目立つ場合には肥満や糖代謝の問題なども考える必要があります。
その一方で、性欲低下や朝立ちの減少などが他の症状と一緒に出ている場合には、テストステロンを一度確認してみる価値があります。
男性更年期の診療では、「この症状があるから男性更年期」と決めつけるのではなく、
症状の組み合わせ
テストステロン値
睡眠
体組成
生活習慣
基礎疾患
をまとめて評価することが大切です。
「年齢のせいかもしれない」と思っている症状でも、原因を整理することで対処できることがあります。
気になる変化が続いている場合には、まず現在の身体の状態を確認してみてください。
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参考文献
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日本泌尿器科学会・日本Men's Health医学会・LOH症候群(加齢男性・性腺機能低下症)診療の手引き作成委員会 編.LOH症候群(加齢男性・性腺機能低下症)診療の手引き.医学図書出版,2022.
日本におけるLOH症候群の症状、診断、テストステロン評価、治療の考え方を整理した基本資料です。 -
Bhasin S, Brito JP, Cunningham GR, et al. Testosterone Therapy in Men With Hypogonadism: An Endocrine Society Clinical Practice Guideline. J Clin Endocrinol Metab. 2018;103(5):1715-1744.
男性性腺機能低下症の診断と治療に関する代表的ガイドラインで、症状・徴候と一貫した低テストステロン値を組み合わせて診断する重要性を示しています。 -
European Association of Urology. EAU Guidelines on Sexual and Reproductive Health: Male Hypogonadism.2026.
男性性腺機能低下症について、性機能症状、身体症状、診断、テストステロン測定、治療などを整理した最新ガイドラインです。2026年版ではHypogonadismの章について新たな文献評価と改訂が行われています。 -
Snyder PJ, Bhasin S, Cunningham GR, et al. Effects of Testosterone Treatment in Older Men. N Engl J Med. 2016;374:611-624.
低テストステロンと関連症状を持つ65歳以上の男性790人を対象としたTestosterone Trialsの主要報告です。TRTによって性活動、性欲、勃起機能は改善した一方、活力に対する主要評価項目では有意な改善を認めませんでした。 -
Snyder PJ, Bhasin S, Cunningham GR, et al. Effects of Testosterone Treatment in Older Men — Correction. N Engl J Med. 2018;379:1486.
上記Testosterone Trials主要報告について、一部の身体機能データが後に訂正されています。研究結果を参照する際には訂正版も確認する必要があります。 -
Walther A, Breidenstein J, Miller R. Association of Testosterone Treatment With Alleviation of Depressive Symptoms in Men: A Systematic Review and Meta-analysis. JAMA Psychiatry. 2019;76(1):31-40.
27件のランダム化プラセボ対照試験、計1,890人を対象としたメタ解析で、テストステロン治療は抑うつ症状の小さな改善と関連しました。ただし研究間のばらつきも大きく、精神症状をテストステロンだけで説明できるわけではありません。 -
Snyder PJ, Bhasin S, Cunningham GR, et al. The Testosterone Trials: Seven coordinated trials of testosterone treatment in elderly men.
Testosterone Trialsでは、性機能、身体機能、活力、認知機能、貧血、骨、心血管系など複数の領域が検討されました。第2回の記事で扱った「症状によってTRTへの反応が異なる」という点を理解するうえで重要な研究群です。 -
Endocrine Society. Testosterone Therapy for Hypogonadism Guideline Resources. 2018.
テストステロン低下を疑う症状がある男性に対する検査、診断、TRT適応、治療後のモニタリングについてまとめられています。

