男性更年期は何歳から?30代・40代・50代・60代のテストステロン低下を医師が解説
2026/10/18
男性更年期は「何歳から」と一律に決まるものではありません
「男性更年期は何歳くらいから始まりますか?」
「40代になって疲れやすくなったのは男性更年期ですか?」
「30代でもテストステロンは低くなることがありますか?」
男性更年期について、このような年齢に関する疑問を持つ方は少なくありません。
一般的には、男性更年期やLOH症候群は40代以降で意識されることが多くなります。
しかし、実際には、
「40歳になったら男性更年期が始まる」
「50代ならテストステロンが低い」
と年齢だけで決まるものではありません。
男性のテストステロンは加齢とともに変化する傾向がありますが、その程度には大きな個人差があります。
また、テストステロン値には、
-
肥満
-
睡眠
-
睡眠時無呼吸症候群
-
運動習慣
-
糖尿病やメタボリックシンドローム
-
慢性疾患
-
一部の薬剤
なども関係します。
そのため、30代でも低テストステロンがみられることがありますし、60代以降でも十分なテストステロン値を維持している方もいます。
男性更年期を考えるうえで重要なのは、
「何歳か」だけではなく、年齢とともにどのような症状や身体の変化が起こっているか
を見ることです。
本記事では、
-
男性更年期は一般に何歳からみられるのか
-
テストステロンは年齢とともにどのように変化するのか
-
30代でも男性更年期のような症状は起こるのか
-
40代・50代・60代では何に注意すればよいのか
-
年齢だけでテストステロン検査を受ける必要があるのか
について、国内外のガイドラインや研究をもとに詳しく解説します。
男性更年期は何歳から?
男性更年期というと、
「40代から始まる」
「50代になったらなりやすい」
といったイメージを持つ方が多いかもしれません。
実際、男性更年期・LOH症候群は中高年男性で問題になることが多いですが、「何歳から始まる」と明確に決まっているわけではありません。
日本のLOH症候群診療の手引きでも、男性更年期の病態は単純な加齢によるテストステロン低下だけでは説明できず、ストレスや生活背景、基礎疾患などが関係することが示されています。
一般には40代以降で意識されることが多い
男性更年期の相談は、40代以降で増える傾向があります。
この年代では、
-
性欲の低下
-
ED
-
朝立ちの減少
-
疲労感
-
活力低下
-
筋力低下
-
睡眠の変化
などを自覚する方が増えてきます。
一方で、これらの変化がすべてテストステロン低下によるものとは限りません。
40代以降になると、
-
仕事や家庭でのストレス
-
運動量の低下
-
体重増加
-
睡眠不足
-
糖尿病や高血圧などの生活習慣病
-
睡眠時無呼吸症候群
なども増えやすくなります。
そのため、男性更年期の症状は、加齢だけでなく複数の要因が重なって現れることがあります。
「40歳になったら男性更年期」ではない
40歳という年齢を境に、急にテストステロンが低下するわけではありません。
女性の閉経のように、ある時期を境にホルモンが急激に変化する明確なポイントが男性にはありません。
男性のテストステロンは、一般的には年齢とともに徐々に変化します。
ただし、その程度には大きな個人差があります。
例えば、
45歳でも十分なテストステロン値を保っている人
もいれば、
30代でも低テストステロンがみられる人
もいます。
つまり、年齢だけで男性更年期かどうかを判断することはできません。
30代でも低テストステロンになることはある
男性更年期という言葉から、
「30代なら関係ない」
と思われるかもしれません。
しかし、テストステロン低下は加齢だけで起こるものではありません。
例えば、
-
強い肥満
-
睡眠不足
-
睡眠時無呼吸症候群
-
慢性疾患
-
精巣の病気
-
下垂体・視床下部の病気
-
一部の薬剤
-
アナボリックステロイドや外因性テストステロンの使用
などによって、若い男性でも低テストステロンがみられることがあります。
そのため、30代でも明らかな性欲低下やED、朝立ちの減少、疲労感などが続く場合には、必要に応じてテストステロンを含めた評価を検討します。
50代・60代でも症状がなければ一律に男性更年期ではない
反対に、年齢が高いからといって必ず男性更年期になるわけでもありません。
50代、60代でも、
-
性欲が保たれている
-
EDがない
-
活力がある
-
筋力が保たれている
-
日常生活に支障がない
という方はいます。
加齢に伴ってテストステロンがある程度低下していても、自覚症状がほとんどなければ、年齢だけを理由に治療する必要はありません。
海外の男性性腺機能低下症診療でも、年齢だけではなく、症状・徴候と低テストステロンの両方を確認することが基本です。
男性更年期は「年齢+症状+背景」で考える
男性更年期を考えるときに重要なのは、
何歳か
だけではありません。
例えば、
45歳+性欲低下+朝立ち減少+ED
という場合には、テストステロン評価を考えやすくなります。
一方、
55歳+疲労感+日中の眠気+大きないびき
という場合には、男性更年期だけでなく睡眠時無呼吸症候群も考える必要があります。
また、
35歳+強い肥満+性欲低下+疲労感
であれば、肥満や代謝異常に伴う低テストステロンの可能性も考えます。
つまり、
年齢
+
症状
+
生活習慣
+
基礎疾患
を組み合わせて考えることが重要です。
「何歳から?」より「以前と比べてどう変わったか」が重要
実際の診療では、
「何歳になったか」
以上に、
以前と比べて身体や性機能がどう変わったか
を見ることが大切です。
例えば、
-
性欲が明らかに低下した
-
朝立ちが減った
-
EDが出てきた
-
疲れやすくなった
-
筋力が落ちた
-
体脂肪が増えた
といった変化が複数みられる場合には、年齢にかかわらず一度評価する意義があります。
男性更年期には明確な「開始年齢」があるわけではありません。
40代以降は一つの目安ではありますが、年齢だけで判断せず、症状や身体の変化を合わせて見ることが大切です。
テストステロンは年齢とともにどう変化する?
男性のテストステロンは、一般的に若年成人期に高く、その後は年齢とともに徐々に低下する傾向があります。
ただし、その変化は一律ではありません。
同じ年齢でも、
-
高めのテストステロン値を保っている人
-
境界域まで低下している人
-
明らかに低値になっている人
がいます。
つまり、年齢とテストステロンには一定の関係はありますが、「年齢からテストステロン値を予測できる」ほど単純ではありません。
加齢でテストステロンは徐々に低下する
テストステロンは、男性の性機能、筋肉、骨、造血、体脂肪、気分などに関係しています。
加齢とともに精巣機能や視床下部・下垂体―精巣系の働きが変化し、テストステロン値は徐々に低下していきます。
一方、男性には女性の閉経のように、ある時期を境にホルモンが急激に低下する明確な転換点はありません。
そのため、男性更年期は、
「この年齢から急に始まる」
というより、
加齢や生活習慣、基礎疾患などが重なった結果、ある時期から症状として表面化する
と考える方が自然です。
年齢だけでなく、健康状態が大きく影響する
テストステロン値は加齢だけでなく、健康状態からも強く影響を受けます。
特に、
-
肥満
-
2型糖尿病
-
メタボリックシンドローム
-
睡眠不足
-
睡眠時無呼吸症候群
-
慢性疾患
-
運動不足
などは、低テストステロンと関連します。
そのため、
年齢が高いから低い
というよりも、
年齢とともに増えやすい肥満や慢性疾患などがテストステロン低下に影響している
ケースもあります。
同じ50歳でもテストステロン値は大きく違う
テストステロンの個人差は比較的大きいため、
「50歳ならこのくらい」
「60歳ならこれくらいまで下がる」
というように、年齢別に一つの正常値を決めることはできません。
例えば、同じ50代でも、
-
標準体重で運動習慣がある
-
睡眠が十分取れている
-
糖尿病などの基礎疾患がない
人と、
-
強い肥満がある
-
睡眠時無呼吸症候群がある
-
運動不足
-
糖尿病がある
人では、ホルモン環境が異なる可能性があります。
そのため、テストステロン値を見るときも、年齢だけではなく体格や生活背景を合わせて考える必要があります。
SHBGも年齢とともに変化する
テストステロンを考えるうえで、もう一つ重要なのが**SHBG(性ホルモン結合グロブリン)**です。
血液中のテストステロンの多くは、SHBGやアルブミンと結合して存在しています。
SHBGは加齢とともに上昇する傾向があり、その結果、
総テストステロンはある程度保たれていても、利用可能なテストステロンが少なくなる
場合があります。
一方、肥満やインスリン抵抗性ではSHBGが低下しやすく、総テストステロンが低く測定されることがあります。
このため、総テストステロンだけでは判断が難しい場合には、SHBGや遊離テストステロンを参考にすることがあります。
総テストステロンと遊離テストステロンは同じように変化しない
加齢ではSHBGが上昇しやすいため、
遊離テストステロンの方が総テストステロンより低下が目立つ
ことがあります。
これは、日本でLOH症候群の評価に遊離テストステロンが比較的重視されてきた理由の一つです。
一方、海外では総テストステロンを基本に評価し、必要に応じてSHBGや遊離テストステロンを追加するのが一般的です。
そのため、日本と海外では「テストステロン低下」を評価する方法が少し異なります。
一度の検査だけで年齢による低下とは判断しない
テストステロンは、年齢だけでなく、
-
採血した時間
-
食事
-
睡眠
-
体調
-
急性疾患
などによっても変動します。
特にテストステロンには日内変動があり、一般的には朝に高く、夜に低くなります。
そのため、低値だった場合でも、
「年齢のせいで下がった」
とすぐに判断するのではなく、採血条件を確認し、必要に応じて再検査します。
年齢による低下は「病気」と同じではない
加齢に伴ってテストステロンがある程度低下すること自体は、自然な変化の一面です。
問題になるのは、
その低下に伴って症状や生活への影響が出ているかどうか
です。
例えば、テストステロン値が若い頃より低くなっていても、
-
性欲が保たれている
-
EDがない
-
疲労感がない
-
日常生活に支障がない
のであれば、年齢だけを理由に治療する必要はありません。
反対に、年齢が比較的若くても、
-
性欲低下
-
朝立ちの減少
-
ED
-
疲労感
-
筋力低下
などがあり、テストステロンも低ければ、詳しく評価する価値があります。
大切なのは「年齢相応か」ではなく「本人に症状があるか」
男性更年期を考えるときには、
「この数値は年齢相応だから問題ない」
と単純に考えるのではなく、
本人にどのような症状があるのか
を見ることが重要です。
テストステロンは年齢とともに徐々に変化しますが、その程度には大きな個人差があります。
そのため、
年齢+症状+テストステロン値+生活背景
を合わせて評価することが、男性更年期を考える基本になります。
30代でも男性更年期はある?
「男性更年期は40代や50代のもの」
というイメージを持つ方は多いと思います。
たしかに、LOH症候群は中高年男性で問題になることが多いですが、30代でも低テストステロンや男性更年期に似た症状がみられることはあります。
ただし、30代では単純な加齢だけを原因と考えるよりも、
-
肥満
-
睡眠不足
-
睡眠時無呼吸症候群
-
強いストレス
-
慢性疾患
-
一部の薬剤
-
精巣の病気
-
下垂体・視床下部の病気
-
外因性テストステロンやアナボリックステロイドの使用
など、年齢以外の原因をより丁寧に確認することが重要です。
30代では「加齢」以外の原因を考える
30代でテストステロンが低い場合、
「もう男性更年期なのかな」
と思うかもしれません。
しかし、一般的な加齢による変化だけで説明するには若い年代です。
そのため、30代では特に、
なぜテストステロンが低下しているのか
を考える必要があります。
例えば、強い肥満や睡眠障害などによって、視床下部・下垂体―精巣系が機能的に抑制されることがあります。
このような場合には、原因への介入によってテストステロン値が改善する可能性があります。
肥満は若い男性でも重要な要因
30代でも、肥満がある男性では低テストステロンがみられることがあります。
特に、
-
内臓脂肪が多い
-
体重がここ数年で増えた
-
運動量が少ない
-
糖尿病や脂質異常症がある
といった場合には、代謝状態とテストステロンの両方を確認する意味があります。
肥満ではSHBGが低下しやすいため、総テストステロンが低く測定されることもあります。
そのため、数値だけで「男性ホルモンが足りない」と判断するのではなく、症状や体組成と合わせて評価します。
睡眠不足・夜型生活も影響する
30代では仕事が忙しく、
-
睡眠時間が短い
-
夜型生活
-
夜勤
-
不規則な勤務
-
慢性的な寝不足
になっている方も少なくありません。
睡眠不足は、
-
疲労感
-
性欲低下
-
集中力低下
-
活力低下
など、男性更年期に似た症状を引き起こします。
さらに、睡眠状態はテストステロン分泌にも影響する可能性があります。
そのため、30代で「男性更年期かも」と感じる場合には、まず睡眠を見直すことも重要です。
睡眠時無呼吸症候群は若くても起こる
SASは中高年だけの病気ではありません。
特に肥満がある場合には、30代でも起こることがあります。
例えば、
-
大きないびき
-
睡眠中の無呼吸
-
朝の頭痛
-
日中の強い眠気
-
ED
などがある場合には、テストステロン評価と同時にSASも考えます。
「疲れる」「性欲がない」という症状だけを見てTRTを考える前に、睡眠障害が隠れていないか確認することが大切です。
精巣や下垂体の病気が隠れていることもある
若い男性で明らかな低テストステロンがある場合には、器質的な原因も考えます。
例えば、
-
精巣の障害
-
精巣炎
-
外傷
-
下垂体疾患
-
高プロラクチン血症
などです。
この場合には、LH、FSH、プロラクチンなどを追加して、低テストステロンの原因を調べることがあります。
若い年代ほど、
「男性更年期でしょう」で終わらせず、原因検索を行うこと
が重要です。
アナボリックステロイドやテストステロン使用歴にも注意
筋肉増強やボディメイク目的で、
-
アナボリックステロイド
-
テストステロン製剤
などを使用したことがある場合には注意が必要です。
外からテストステロンを投与すると、自分自身のLH・FSH分泌が抑えられます。
その結果、使用を中止したあとも、
-
低テストステロン
-
性欲低下
-
ED
-
精子形成低下
などが続くことがあります。
30代で低テストステロンがある場合には、現在だけでなく過去のホルモン製剤使用歴も重要です。
30代で性欲低下やEDがあればテストステロンを測るべき?
30代でEDがあるからといって、全員にテストステロン検査が必要というわけではありません。
ただし、
-
性欲低下
-
朝立ちの減少
-
ED
-
疲労感
-
活力低下
などが複数重なっている場合には、テストステロンを確認する価値があります。
特に、
性欲低下+朝立ち減少+ED
のような組み合わせは、ホルモン評価を考えやすい症状です。
若いほど「すぐTRT」ではなく原因確認が重要
30代でテストステロンが低かった場合に、すぐTRTを始めればよいとは限りません。
特に若い男性では、
-
妊娠希望
-
将来の妊孕性
-
原因が可逆的かどうか
を確認することが非常に重要です。
TRTを行うと精子形成が抑制される可能性があるため、妊活中や将来子どもを希望する男性では慎重な判断が必要です。
30代でも「年齢が若いから大丈夫」とは限らない
30代では、
「まだ若いから男性ホルモンは問題ないだろう」
と思いがちです。
しかし、低テストステロンは加齢だけで起こるものではありません。
明らかな性欲低下、ED、朝立ちの減少、疲労感などが続いている場合には、年齢が若くても一度評価する意味があります。
ただし、30代では特に、
テストステロンを補うことよりも、まず低下している原因を確認すること
が重要です。
40代の男性更年期|仕事・睡眠・肥満が重なりやすい年代
40代は、男性更年期やLOH症候群を意識し始める方が増える年代です。
ただし、40代になったから急にテストステロンが下がるわけではありません。
この年代ではむしろ、
-
仕事の責任が増える
-
睡眠時間が短くなる
-
運動量が減る
-
体重が増える
-
飲酒機会が増える
-
糖尿病や高血圧などの生活習慣病が出てくる
といった変化が重なりやすくなります。
その結果、
加齢によるホルモン変化+生活習慣+ストレス+基礎疾患
が組み合わさって、男性更年期に似た症状が表面化することがあります。
40代で増えやすいのは「なんとなく不調」
40代では、
-
最近疲れやすい
-
朝すっきり起きられない
-
性欲が落ちた
-
EDが増えた
-
集中力が続かない
-
やる気が出にくい
-
お腹まわりが増えた
といった、はっきりしない不調が出てくることがあります。
ただし、これらは男性更年期だけで起こる症状ではありません。
特に40代では、睡眠不足やSAS、肥満、糖代謝異常、ストレスの影響を受けていることが少なくありません。
性機能の変化は重要なサイン
40代で男性更年期を考えるうえで、比較的注目したいのが性機能の変化です。
例えば、
-
性欲が以前より落ちた
-
朝立ちが減った
-
EDが増えた
-
性的な関心が低下した
といった変化です。
疲労感や気分の落ち込みだけでは原因を絞りにくい一方、こうした性機能症状が複数重なっている場合には、テストステロン評価を考えやすくなります。
40代では肥満との関係も強くなる
40代になると、若い頃と同じ食事量でも体重が増えやすくなる方がいます。
特に、
-
内臓脂肪が増えた
-
ウエストが太くなった
-
運動習慣がなくなった
-
HbA1cが上がってきた
といった変化がある場合には注意が必要です。
肥満は低テストステロンと関連し、逆に低テストステロンは筋肉量低下や体脂肪増加に関係するため、悪循環になることがあります。
そのため40代では、テストステロンだけでなく、
体重・腹囲・体脂肪・筋肉量・糖代謝
を一緒に見ることが大切です。
睡眠不足とSASを見逃さない
40代では仕事や家庭の影響で、慢性的に睡眠不足になっている方も多い年代です。
また、体重増加に伴ってSASが表面化することもあります。
例えば、
-
大きないびき
-
無呼吸を指摘された
-
日中眠い
-
朝に頭が重い
-
熟睡感がない
といった症状がある場合には、男性更年期だけでなくSASも考えます。
疲労感やEDを「テストステロンのせい」と決めつけず、睡眠の評価を行うことが重要です。
仕事のストレスでも似た症状は出る
40代では仕事上の責任が増えやすく、精神的ストレスも大きくなります。
強いストレスが続くと、
-
気分の落ち込み
-
イライラ
-
集中力低下
-
睡眠障害
-
性欲低下
などが起こることがあります。
これらは男性更年期の症状と非常によく似ています。
そのため、
「症状がある=テストステロンが低い」
とは限りません。
40代でテストステロン検査を考えたいケース
40代で、
-
性欲低下
-
朝立ちの減少
-
ED
-
強い疲労感
-
活力低下
-
筋力低下
-
体脂肪増加
などが複数みられ、数週間から数か月続いている場合には、テストステロンを含めた評価を考えてよいでしょう。
特に、性機能症状が加わっている場合には検査の意義が高くなります。
40代は「年齢のせい」で済ませないことが大切
40代では、
「もう若くないから仕方ない」
と考えてしまう方もいます。
しかし、症状の背景に、
-
睡眠障害
-
肥満
-
糖尿病
-
甲状腺疾患
-
貧血
-
男性更年期
など、対応できる原因が隠れていることがあります。
そのため、以前と比べて明らかな変化が続いている場合には、年齢のせいだけにせず一度評価してみることが大切です。
50代の男性更年期|症状と生活習慣病が重なりやすい年代
50代は、男性更年期やLOH症候群の相談が増えやすい年代です。
この年代では、加齢によるテストステロン変化に加えて、
-
肥満
-
高血圧
-
糖尿病
-
脂質異常症
-
睡眠時無呼吸症候群
-
運動不足
などが重なりやすくなります。
そのため、50代の不調は単純に「男性更年期だけ」で説明できるとは限りません。
50代では性機能と全身症状が一緒に出やすい
50代では、
-
性欲低下
-
朝立ちの減少
-
ED
-
疲労感
-
活力低下
-
筋力低下
-
体脂肪増加
などが同時にみられることがあります。
特に、
性機能の変化+疲労感や体力低下
が重なっている場合には、テストステロン評価を考えるきっかけになります。
EDはテストステロンだけの問題ではない
50代ではEDの頻度も高くなります。
ただし、EDの原因には、
-
動脈硬化
-
糖尿病
-
高血圧
-
喫煙
-
薬剤
-
心理的要因
なども関係します。
そのため、EDがあるからといってすぐに低テストステロンと考えるのではなく、性欲の低下や朝立ちの減少などが伴っているかを確認します。
生活習慣病との関連をみることが重要
50代では、メタボリックシンドロームや糖尿病などの有病率が高くなります。
これらは低テストステロンと関連することが知られています。
また、
肥満 → 低テストステロン → 筋肉量低下・体脂肪増加 → さらに肥満
という悪循環になることもあります。
そのため50代では、テストステロン値だけでなく、
-
体重
-
腹囲
-
体脂肪率
-
筋肉量
-
血糖
-
HbA1c
-
脂質
なども一緒に評価することが大切です。
疲労感が強い場合は他の病気も確認する
50代で疲れやすくなった場合、
「男性更年期だろう」
と思いがちです。
しかし、疲労感には、
-
貧血
-
甲状腺機能低下症
-
糖尿病
-
SAS
-
慢性肝疾患
-
慢性腎疾患
なども関係します。
特に疲労感だけが目立つ場合には、テストステロン以外の原因を広く考える必要があります。
50代は睡眠時無呼吸症候群にも注意
50代ではSASも増えやすくなります。
特に、
-
肥満
-
大きないびき
-
無呼吸の指摘
-
日中の眠気
-
朝の頭痛
-
高血圧
などがある場合には注意が必要です。
SASは、
-
疲労感
-
集中力低下
-
ED
-
活力低下
など、男性更年期に似た症状を起こすことがあります。
50代では「複数の原因がある」と考える
50代では、
低テストステロン+SAS+肥満+糖尿病
のように、複数の要因が同時に存在しているケースも少なくありません。
そのため、症状を一つの原因だけで説明しようとせず、全体をみることが大切です。
50代で検査を考えたい症状
50代で、
-
性欲が明らかに落ちた
-
朝立ちが減った
-
EDが続いている
-
強い疲労感がある
-
筋力が落ちた
-
体脂肪が増えた
-
日常生活や仕事に影響が出ている
という場合には、テストステロンを含めた評価を考えてよいでしょう。
特に、これらが複数重なっている場合には、より検査の意義が高くなります。
50代だから「仕方ない」で終わらせない
50代では加齢による変化があるのは自然です。
一方で、
生活習慣病、睡眠障害、ホルモン異常など、治療や改善が可能な要因が隠れていることもあります。
そのため、以前と比べて明らかな変化が続く場合には、
「年齢だから」
だけで片づけず、一度原因を整理してみることが大切です。
60代以降の男性更年期|加齢による変化と病的な低テストステロンをどう考える?
60代以降では、テストステロンは若い頃より低下していることが多くなります。
ただし、年齢が高い=男性更年期、あるいは治療が必要というわけではありません。
この年代では、
-
加齢そのものによる変化
-
筋肉量低下
-
生活習慣病
-
慢性疾患
-
睡眠障害
-
使用している薬剤
などの影響も大きくなるため、症状と検査結果を総合的に評価することがより重要になります。
60代以降では「加齢による変化」との区別が難しくなる
60代以降では、
-
疲れやすくなった
-
筋力が落ちた
-
性欲が低下した
-
EDがある
-
体脂肪が増えた
-
活動量が減った
といった変化がみられることがあります。
これらは低テストステロンでも起こり得ますが、単純な加齢や運動不足でも起こります。
そのため、
症状だけで男性更年期と判断することはできません。
性欲低下や朝立ちの減少は引き続き重要
60代以降でも、低テストステロンを考えるうえで性機能の変化は重要です。
特に、
-
性欲が明らかに低下した
-
朝立ちがほとんどなくなった
-
EDが以前より悪化した
といった変化がある場合には、テストステロン評価を考えるきっかけになります。
ただし、EDについては動脈硬化、糖尿病、心血管疾患、薬剤などの影響も大きくなるため、ホルモンだけに原因を求めないことが大切です。
筋力低下や体力低下はサルコペニアとの区別も必要
60代以降では、筋肉量や筋力の低下が目立ちやすくなります。
低テストステロンは筋肉量低下と関連しますが、一方で、
-
運動不足
-
低栄養
-
慢性疾患
-
加齢そのもの
によっても筋肉は減少します。
そのため、筋力低下がある場合には、
テストステロンだけでなく、体組成・食事・運動習慣も合わせて確認する
ことが重要です。
骨密度低下にも注意する
テストステロンは骨代謝にも関係しています。
長期間の低テストステロンは、骨密度低下や骨粗鬆症の一因になることがあります。
60代以降で、
-
骨折歴がある
-
身長が縮んだ
-
長期的な低テストステロンが疑われる
-
骨粗鬆症のリスクが高い
といった場合には、必要に応じて骨の評価も検討します。
60代以降では服薬内容も重要
この年代では、複数の薬を使用している方も増えてきます。
一部の薬剤は、
-
性欲
-
ED
-
倦怠感
-
ホルモン環境
に影響することがあります。
そのため、男性更年期が疑われる症状がある場合には、現在使用している薬剤も確認します。
症状がなくても年齢だけで検査する必要はある?
年齢が高いという理由だけで、すべての男性がテストステロン検査を受ける必要があるわけではありません。
一般的には、
症状や低テストステロンを疑う背景がある場合に検査を考える
というのが基本です。
例えば、
-
性欲低下
-
朝立ちの減少
-
ED
-
原因不明の疲労感
-
筋力低下
-
骨密度低下
などがある場合には、検査を検討します。
60代以降でTRTを考える場合はより慎重に評価する
60代以降で低テストステロンが確認され、症状もある場合には、TRTが選択肢になることがあります。
ただし、治療前には、
-
PSA
-
前立腺疾患
-
赤血球増加
-
心血管リスク
-
睡眠時無呼吸症候群
-
その他の基礎疾患
などを確認することが重要です。
また、テストステロン値を上げること自体が目的ではなく、症状や生活の質が改善するかを見ながら治療を考えます。
60代以降でも「年齢だけ」で判断しない
60代以降では加齢の影響が大きくなりますが、
すべてを年齢のせいにする必要も、すべてを男性更年期のせいにする必要もありません。
重要なのは、
-
どの症状があるか
-
いつから変化したか
-
テストステロンが実際に低いか
-
他の病気が隠れていないか
を確認することです。
60代以降でも、症状と低テストステロンが一致していれば評価や治療を検討する意味があります。
30代・40代・50代・60代で何が違う?
男性更年期は、年齢だけで決まるものではありません。
ただし、年代によって、
-
起こりやすい背景
-
注意したい病気
-
評価で重視するポイント
には違いがあります。
ここでは、30代から60代以降までを整理してみます。
30代|「本当に加齢だけ?」を考える年代
30代で低テストステロンがみられる場合には、単純な加齢だけで説明するのではなく、原因をしっかり確認することが重要です。
特に注意したいのは、
-
肥満
-
睡眠不足
-
睡眠時無呼吸症候群
-
強いストレス
-
精巣疾患
-
下垂体・視床下部疾患
-
薬剤
-
アナボリックステロイドや外因性テストステロンの使用
などです。
また、妊娠希望がある場合には、TRTによる精子形成抑制にも注意が必要です。
30代では、
「テストステロンが低いから補充する」より、まず原因を探す
という考え方が特に重要です。
40代|生活習慣と男性更年期が重なり始める年代
40代では、
-
仕事のストレス
-
睡眠不足
-
運動不足
-
体重増加
-
内臓脂肪増加
などが重なりやすくなります。
この年代では、
性欲低下・朝立ち減少・ED
といった性機能症状に、
疲労感・活力低下・体型変化
が加わってくる場合には、テストステロン評価を考えるきっかけになります。
一方で、SASやストレスによる症状も非常に多いため、男性更年期だけに絞らず評価する必要があります。
50代|生活習慣病とホルモン低下を一緒に考える年代
50代では、
-
糖尿病
-
高血圧
-
脂質異常症
-
肥満
-
SAS
などがより増えてきます。
そのため、
低テストステロンと生活習慣病が同時に存在する
ケースも多くなります。
また、EDについても、テストステロンだけでなく動脈硬化や糖尿病など血管系の要因がより重要になります。
50代では、
ホルモン・代謝・睡眠・心血管リスクをまとめて評価する
ことが大切です。
60代以降|加齢変化との区別が重要になる年代
60代以降では、
-
筋力低下
-
活動量低下
-
性機能低下
-
骨密度低下
-
慢性疾患
など、加齢に伴う変化が増えてきます。
そのため、
「加齢による変化」と「病的な低テストステロン」をどう区別するか
が重要になります。
また、TRTを検討する場合には、
-
PSA
-
赤血球増加
-
心血管疾患
-
SAS
などの安全性評価もより重要になります。
年代別の特徴をまとめると
| 年代 | 特徴 | 特に確認したいこと |
|---|---|---|
| 30代 | 若年での低テストステロン | 肥満、睡眠、精巣・下垂体疾患、薬剤、妊孕性 |
| 40代 | 生活習慣と症状が重なり始める | ストレス、睡眠、SAS、体重増加、性機能 |
| 50代 | 生活習慣病との関連が強くなる | 糖尿病、肥満、動脈硬化、SAS、ED |
| 60代以降 | 加齢変化との区別が重要 | サルコペニア、骨、慢性疾患、TRT安全性 |
年齢より重要なのは「変化のパターン」
結局のところ、男性更年期を考えるうえで最も重要なのは、
何歳か
ではなく、
以前と比べて何が変わったか
です。
例えば、
-
性欲が落ちた
-
朝立ちが減った
-
EDが増えた
-
疲れやすくなった
-
筋肉が落ちた
-
体脂肪が増えた
といった変化が複数重なっている場合には、年代に関係なく評価する価値があります。
男性更年期は、
年齢だけで診断するものではなく、症状・テストステロン値・生活背景・基礎疾患を総合して考えるもの
です。
何歳からテストステロン検査を受けるべき?
「40歳を超えたらテストステロンを測った方がいいですか?」
「健康診断のように、毎年測る必要がありますか?」
という質問を受けることがあります。
結論からいうと、年齢だけを理由に、すべての男性が一律にテストステロン検査を受ける必要はありません。
基本的には、
-
男性更年期を疑う症状がある
-
低テストステロンを起こしやすい背景がある
-
原因不明の性機能低下や疲労感がある
といった場合に検査を考えます。
「40歳以上なら全員検査」ではない
男性更年期は40代以降で意識されることが多いですが、
40歳になったから定期的にテストステロンを測る
という考え方ではありません。
症状がなく、日常生活にも問題がない場合には、年齢だけを理由にスクリーニングする必要性は高くありません。
一方で、年齢が若くても、
-
性欲低下
-
朝立ちの減少
-
ED
-
活力低下
などが続いていれば、テストステロン検査を考えることがあります。
特に検査を考えたい症状
低テストステロンを考えるうえで、比較的重要なのが性機能症状です。
特に、
-
性欲が明らかに低下した
-
朝立ちが減った
-
EDが増えた
といった変化が複数重なっている場合には、テストステロンを確認する意味があります。
また、
-
疲労感
-
活力低下
-
筋力低下
-
体脂肪増加
-
気分の落ち込み
-
集中力低下
などが加わっている場合には、より総合的な評価を考えます。
疲労感だけならテストステロン以外も重要
疲れやすさだけを理由にテストステロンを測ることもありますが、疲労感は非常に非特異的な症状です。
例えば、
-
貧血
-
甲状腺機能異常
-
糖尿病
-
SAS
-
睡眠不足
-
精神的ストレス
-
慢性疾患
でも起こります。
そのため、疲労感が中心の場合には、テストステロンだけでなく他の原因も同時に考える必要があります。
低テストステロンのリスクがある人では検査を考える
症状に加えて、以下のような背景がある場合には、検査を検討しやすくなります。
-
肥満
-
2型糖尿病
-
メタボリックシンドローム
-
精巣疾患の既往
-
下垂体疾患
-
一部の薬剤使用
-
アナボリックステロイド使用歴
-
骨粗鬆症や低外傷性骨折
このような場合には、症状との組み合わせをみながらホルモン評価を考えます。
テストステロン検査は「朝」が基本
テストステロンには日内変動があります。
一般的には朝に高く、夜に低くなるため、テストステロン検査は午前中に行うことが基本です。
また、食事や睡眠、体調の影響も受けるため、可能であれば安定した状態で測定します。
低値だった場合には、一度の検査だけで判断せず、条件を整えて再検査することがあります。
一度低かっただけで男性更年期とはいえない
テストステロン値が基準より低かったとしても、
それだけで男性更年期やLOH症候群と診断できるわけではありません。
重要なのは、
-
症状があるか
-
再検査でも低いか
-
採血条件に問題がなかったか
-
他の原因がないか
を確認することです。
必要に応じて、
-
LH
-
FSH
-
プロラクチン
-
甲状腺機能
-
血算
-
血糖・HbA1c
などを追加して原因を調べることもあります。
「検査する=TRTを始める」ではない
テストステロンを測ると、
「低かったら注射を始めないといけないのでは?」
と心配する方もいます。
しかし、検査の目的は、まず現在の状態を把握することです。
例えば、低テストステロンの背景に肥満や睡眠不足がある場合には、
-
体重管理
-
運動
-
睡眠改善
-
SAS治療
などを優先することがあります。
若い男性や妊娠希望がある男性では、特にTRT以外の選択肢を検討することが重要です。
受ける年齢より「受ける理由」が大切
テストステロン検査には、
「何歳から受けるか」という絶対的な基準はありません。
大切なのは、
以前と比べて明らかな変化があるか
です。
特に、
性欲低下・朝立ちの減少・EDなどの性機能症状が続いている
場合や、
疲労感・筋力低下・体型変化などが複数重なっている
場合には、年齢にかかわらず一度評価してみる価値があります。
年齢だけで男性更年期と診断できない理由
男性更年期について調べていると、
「40代から始まる」
「50代に多い」
といった説明を目にすることがあります。
たしかに年齢は一つの目安になりますが、年齢だけで男性更年期やLOH症候群と診断することはできません。
診断を考えるときに重要なのは、
症状
+
テストステロン値
+
背景にある病気や生活習慣
を合わせて見ることです。
1.症状だけでは判断できない
男性更年期でみられる症状には、
-
疲労感
-
性欲低下
-
ED
-
気分の落ち込み
-
イライラ
-
集中力低下
-
筋力低下
-
睡眠障害
などがあります。
しかし、これらはすべて男性更年期だけに特有の症状ではありません。
例えば、疲労感であれば、
-
貧血
-
甲状腺機能異常
-
糖尿病
-
睡眠不足
-
SAS
-
うつや不安
などでも起こります。
そのため、症状があるだけで、
「男性更年期です」
と判断することはできません。
2.テストステロンが低いだけでも診断できない
反対に、テストステロン値が低かったからといって、それだけで男性更年期とは限りません。
テストステロンは、
-
採血時間
-
睡眠
-
食事
-
急性疾患
-
肥満
-
薬剤
などの影響を受けます。
また、症状がほとんどないにもかかわらず、検査上は低めの値が出ることもあります。
一般的には、低テストステロンを考える場合には、
症状があることと、適切な条件で測定したテストステロンが低いこと
の両方が重要です。
3.他の病気が隠れていないか確認する必要がある
男性更年期に似た症状を起こす病気は少なくありません。
特に、
-
SAS
-
糖尿病
-
甲状腺疾患
-
貧血
-
慢性肝疾患
-
慢性腎疾患
-
精神疾患
などは鑑別として重要です。
例えば、
55歳・疲労感・日中の眠気・大きないびき
という場合には、テストステロンだけでなくSASの評価が重要になります。
また、
45歳・性欲低下・ED・体重増加
という場合には、低テストステロンだけでなく糖代謝や肥満の評価も考えます。
「男性更年期」と「低テストステロン」は完全に同じではない
男性更年期という言葉は、実際にはかなり広い意味で使われています。
一方、医学的には、
低テストステロンによる性腺機能低下症
と、
中年期にみられるさまざまな不調
を分けて考える必要があります。
そのため、
「男性更年期っぽい症状がある」
ことと、
「治療が必要な低テストステロンがある」
ことは同じではありません。
AMSスコアだけでも診断できない
男性更年期のセルフチェックとして、AMSスコアが使われることがあります。
AMSスコアは、
-
身体症状
-
精神症状
-
性機能症状
を整理するには便利です。
ただし、スコアが高いからといって、必ずテストステロンが低いわけではありません。
そのため、AMSスコアはあくまで症状の程度を把握するための補助ツールとして使います。
年齢は「診断基準」ではなく「背景情報」
年齢が上がるほどテストステロン低下や関連疾患は増えやすくなります。
その意味で年齢は重要です。
しかし、
40代だから男性更年期
60代だから治療が必要
という考え方は適切ではありません。
年齢はあくまで、
どのような背景がありそうかを考える材料の一つ
です。
最終的には総合評価が必要
男性更年期を評価するときには、
-
年齢
-
症状
-
テストステロン値
-
採血条件
-
体組成
-
睡眠
-
基礎疾患
-
使用している薬剤
などを総合して判断します。
そのうえで、
-
生活習慣改善でよいのか
-
他の病気の治療が必要なのか
-
ED治療が中心なのか
-
TRTを検討するのか
を考えます。
男性更年期は、年齢だけで決めるものではありません。
「何歳か」よりも、「どんな症状があり、その背景に何があるか」を見ることが重要です。
男性更年期が気になるとき、まず何をすればいい?
「最近、疲れやすい」
「性欲が落ちた」
「朝立ちが減った」
「EDが気になる」
こうした変化が続くと、男性更年期ではないかと心配になることがあります。
その場合、いきなりTRTを考えるのではなく、まずは症状・生活習慣・睡眠・基礎疾患を整理したうえで、必要に応じてテストステロンを確認するのが基本です。
まずは「いつから、何が変わったか」を整理する
受診前に、
-
いつ頃から症状が始まったか
-
性欲は以前と比べてどうか
-
朝立ちは減ったか
-
EDはあるか
-
疲労感や活力低下はあるか
-
睡眠の質はどうか
-
体重や体型に変化があるか
を振り返っておくと、診察がスムーズになります。
特に重要なのは、単に「疲れる」というだけでなく、以前の自分と比べて明らかに変化しているかです。
テストステロンは朝に測る
男性更年期が疑われる場合には、テストステロン採血を行います。
テストステロンには日内変動があるため、一般的には午前中の採血が基本です。
また、可能であれば空腹時など、条件をそろえて測定すると評価しやすくなります。
一度低値だった場合でも、その結果だけで判断せず、必要に応じて再検査します。
テストステロン以外の検査も重要
症状によっては、テストステロンだけでなく、
-
血算
-
血糖
-
HbA1c
-
肝機能
-
腎機能
-
甲状腺機能
-
LH
-
FSH
-
プロラクチン
などを確認することがあります。
これは、男性更年期に似た症状を起こす別の病気がないか確認するためです。
睡眠を必ずチェックする
男性更年期の評価では、睡眠も非常に重要です。
特に、
-
大きないびき
-
無呼吸を指摘された
-
日中の眠気が強い
-
朝すっきり起きられない
-
肥満がある
という場合には、SASを疑います。
SASは疲労感、集中力低下、EDなどを起こすため、男性更年期と非常に紛らわしいことがあります。
体組成や生活習慣も確認する
男性更年期では、体重だけではなく、
-
体脂肪率
-
筋肉量
-
腹囲
-
運動習慣
なども参考になります。
例えば、体重があまり変わっていなくても、
筋肉が減って脂肪が増えている
ことがあります。
こうした体組成の変化は、テストステロン低下や運動不足、加齢などと関連します。
検査結果によって対応は変わる
テストステロンが低かった場合でも、治療は一律ではありません。
例えば、
-
肥満が強い
-
睡眠不足がある
-
SASがある
-
運動不足がある
といった場合には、まずその改善を優先することがあります。
一方で、症状があり、低テストステロンが繰り返し確認され、他の原因も整理できた場合には、TRTを検討することがあります。
自己判断でテストステロンを使わない
最近では、筋力増強やボディメイク目的でテストステロン製剤に関心を持つ方もいます。
しかし、自己判断で使用すると、
-
精子形成の低下
-
赤血球増加
-
ホルモンバランスの変化
などが問題になることがあります。
特に将来の妊娠希望がある場合には注意が必要です。
気になる症状が続くなら、一度評価してみる
男性更年期には明確な開始年齢はありません。
30代でも起こることがありますし、60代でも症状がない方もいます。
そのため、
「何歳だから受診する」ではなく、以前と比べて明らかな変化が続いているか
を目安にするとよいでしょう。
特に、
性欲低下、朝立ちの減少、EDに加えて、疲労感や活力低下が重なっている場合
には、テストステロンを含めた評価を検討してみてください。
まとめ
男性更年期は、
「40代から始まる」
「50代になれば誰でもなる」
というものではありません。
男性のテストステロンは一般的に年齢とともに変化しますが、その程度には大きな個人差があります。
また、テストステロン値には、
-
肥満
-
睡眠不足
-
睡眠時無呼吸症候群
-
運動不足
-
糖尿病やメタボリックシンドローム
-
慢性疾患
-
薬剤
-
精巣や下垂体の病気
なども影響します。
そのため、30代でも低テストステロンがみられることがありますし、60代以降でも十分なテストステロン値を保っている方はいます。
年代ごとにみると、
30代では、加齢以外の原因や妊孕性への配慮が特に重要です。
40代では、仕事のストレス、睡眠不足、肥満などと男性更年期の症状が重なりやすくなります。
50代では、糖尿病や高血圧、肥満、SASなどの生活習慣病と一緒に評価することが重要になります。
60代以降では、加齢による自然な変化と病的な低テストステロンを区別しながら、治療の安全性まで含めて考える必要があります。
男性更年期を考えるうえで大切なのは、
「何歳か」ではなく、「以前と比べて何が変わったか」
です。
特に、
-
性欲が低下した
-
朝立ちが減った
-
EDが増えた
-
疲労感や活力低下が続いている
-
筋力が落ちた
-
体脂肪が増えた
といった変化が複数重なっている場合には、年齢にかかわらず一度評価する意味があります。
また、男性更年期に似た症状は、SAS、貧血、甲状腺疾患、糖尿病、ストレスなどでも起こります。
そのため、
症状
+
テストステロン値
+
睡眠
+
体組成
+
基礎疾患
をまとめて評価することが重要です。
男性更年期には明確な「開始年齢」はありません。
「年齢のせい」と決めつけず、以前と比べて気になる変化が続いている場合には、テストステロンを含めた身体の状態を一度確認してみてください。
医師からひとこと
男性更年期について相談を受けていると、
「40代になったから男性更年期でしょうか?」
「50代ならテストステロンが低くても普通ですか?」
と聞かれることがあります。
ただ、実際の診療では年齢だけで判断することはありません。
同じ50代でも、性欲や朝立ちが保たれていて元気に生活している方もいれば、30代でも性欲低下やED、疲労感が強く、実際に低テストステロンがみつかる方もいます。
大切なのは、
年齢そのものより、以前の自分と比べてどんな変化が起きているか
です。
特に、
-
性欲が落ちた
-
朝立ちが減った
-
EDが増えた
-
疲れやすくなった
-
筋力が落ちた
-
体脂肪が増えた
といった変化がいくつか重なっている場合には、一度テストステロンを確認してみる価値があります。
一方で、疲労感や眠気の背景に睡眠時無呼吸症候群があったり、肥満や糖代謝の問題が関係していたりすることも少なくありません。
そのため当院でも、男性更年期を評価するときには、テストステロンの数値だけを見るのではなく、睡眠・体組成・生活習慣・基礎疾患まで含めて全体をみることを大切にしています。
「年齢のせいだから仕方ない」と決めつける必要はありません。
反対に、「テストステロンさえ補えば解決する」と考えるのも適切ではありません。
まずは現在の状態を整理し、何が症状に関係しているのかを確認することから始めてみてください。
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今後、各記事を公開したら、それぞれの項目から内部リンクを設定していきます。
参考文献
-
日本泌尿器科学会・日本Men’s Health医学会.LOH症候群(加齢男性・性腺機能低下症)診療の手引き.2022.
日本におけるLOH症候群の診断・検査・治療を考える際の基本資料です。加齢だけでなく、症状やテストステロン値を総合して評価する考え方の基礎になります。 -
Bhasin S, Brito JP, Cunningham GR, et al. Testosterone Therapy in Men With Hypogonadism: An Endocrine Society Clinical Practice Guideline. J Clin Endocrinol Metab. 2018;103(5):1715-1744.
男性性腺機能低下症は、症状・徴候と一貫した低テストステロン値を組み合わせて診断することを推奨しており、年齢だけでの診断や一律のスクリーニングを支持していません。 -
European Association of Urology. EAU Guidelines on Sexual and Reproductive Health: Male Hypogonadism.2026.
2026年版では男性性腺機能低下症の章が更新されています。朝・空腹時の総テストステロン測定、低値時の再検、必要に応じたSHBG・遊離テストステロン評価などが推奨されています。 -
Wu FCW, Tajar A, Beynon JM, et al. Identification of Late-Onset Hypogonadism in Middle-Aged and Elderly Men. N Engl J Med. 2010;363:123-135.
40〜79歳の男性3,369人を対象としたEuropean Male Ageing Study(EMAS)の代表的研究です。低テストステロンとの関連が特に明確だったのは、性欲低下、朝立ちの減少、EDなどの性機能症状でした。また、LOHの頻度は年齢とともに増加しましたが、年齢だけでなくBMIや併存疾患とも関連していました。 -
Camacho EM, Huhtaniemi IT, O’Neill TW, et al. Age-associated changes in hypothalamic-pituitary-testicular function in middle-aged and older men are modified by weight change and lifestyle factors: longitudinal results from the European Male Ageing Study. Eur J Endocrinol. 2013;168(3):445-455.
中高年男性を縦断的に追跡した研究で、加齢によるホルモン変化だけでなく、体重変化や生活習慣がテストステロンの変化に大きく関係することを示しています。 -
Travison TG, Vesper HW, Orwoll E, et al. Harmonized Reference Ranges for Circulating Testosterone Levels in Men of Four Cohort Studies in the United States and Europe. J Clin Endocrinol Metab. 2017;102(4):1161-1173.
米国・欧州の複数コホートの測定値を標準化し、男性の総テストステロンの基準範囲を検討した研究です。テストステロン値を評価する際には、年齢だけでなく測定法や基準値の違いにも注意が必要であることを示しています。 -
European Association of Urology. EAU Guidelines on Sexual and Reproductive Health. 2026 edition.
2026年版ではHypogonadism領域について新たな文献検索・評価が行われ、診断、LOHスクリーニング、治療効果、安全性モニタリングなどが更新されています。 -
Wu FCW, Tajar A, et al.; EMAS Group. European Male Ageing Study.
EMASからは、加齢そのものだけでなく、肥満、体重変化、健康状態、併存疾患などが男性のテストステロン値やLOH症状に関係することが複数の研究で示されています。今回の記事の「年齢だけで男性更年期を判断しない」という考え方を支える重要な研究群です。

