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男性更年期の検査とは?テストステロン採血・検査項目・受診の目安を医師が解説

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男性更年期の検査とは?テストステロン採血・検査項目・受診の目安を医師が解説

男性更年期の検査とは?テストステロン採血・検査項目・受診の目安を医師が解説

2026/10/20

男性更年期の検査は「テストステロンを測るだけ」ではありません

 

「男性更年期かもしれないけど、どんな検査をするの?」

「血液検査だけで分かりますか?」

「テストステロンはいつ測ればいいですか?」

男性更年期やLOH症候群が気になっていても、実際にどのような検査をするのか分からず、受診を迷っている方は少なくありません。

男性更年期の評価では、中心になるのはテストステロンの採血です。

しかし、実際にはテストステロン値だけを見ればよいわけではありません。

男性更年期に似た症状は、

  • 睡眠時無呼吸症候群

  • 貧血

  • 甲状腺機能異常

  • 糖尿病

  • 肥満

  • 慢性疾患

  • ストレスや精神的要因

などでも起こるため、症状に応じて他の検査も組み合わせます。

また、テストステロンには日内変動があるため、採血する時間も重要です。

低値だった場合にも、1回の結果だけで診断せず、必要に応じて再検査します。

男性更年期の検査で大切なのは、

症状
+
テストステロン値
+
他の病気の除外
+
生活背景・睡眠・体組成

をまとめて評価することです。

本記事では、

  • 男性更年期ではどんな検査をするのか

  • テストステロン採血はいつ行うのか

  • 総テストステロンと遊離テストステロンの違い

  • LH・FSH・プロラクチンは何のために測るのか

  • 貧血・糖尿病・甲状腺などはなぜ確認するのか

  • 睡眠時無呼吸症候群や体組成はどう評価するのか

  • どのような症状があれば受診を考えるべきか

  • テストステロンが低かったら何をするのか

について、国内外のガイドラインや研究をもとに分かりやすく解説します。

 


 

男性更年期の検査で最初に確認すること

 

男性更年期の評価というと、

「まずテストステロンを測ればいい」

と思われがちです。

もちろん、テストステロン採血は非常に重要です。

しかし実際には、採血の前にまず、

  • どのような症状があるか

  • いつから続いているか

  • 性機能に変化があるか

  • 睡眠に問題がないか

  • 体重や体型が変化していないか

  • 基礎疾患や服薬があるか

を確認します。

男性更年期は、症状とホルモン値の両方を見て判断するものだからです。

 

まずは症状を整理する

男性更年期でよくみられる症状には、

  • 性欲低下

  • ED

  • 朝立ちの減少

  • 疲労感

  • 活力低下

  • イライラ

  • 気分の落ち込み

  • 集中力低下

  • 筋力低下

  • 体脂肪増加

  • 睡眠の質の低下

などがあります。

ただし、これらはすべて男性更年期だけに特有の症状ではありません。

そのため、

どの症状が、どのくらいの期間、どの程度生活に影響しているか

を確認することが大切です。

 

性機能の変化は特に重要

低テストステロンとの関連を考えるうえで、比較的重要なのが、

  • 性欲の低下

  • 朝立ちの減少

  • ED

です。

疲労感や気分の落ち込みだけでは原因を絞りにくい一方、こうした性機能の変化が複数重なっている場合には、テストステロン評価を考えやすくなります。

 

AMSスコアは補助的に使う

男性更年期の症状を整理するために、**AMSスコア(Aging Males' Symptoms score)**が使われることがあります。

AMSでは、

  • 身体症状

  • 精神症状

  • 性機能症状

を質問形式で評価します。

症状の程度を客観的に整理したり、治療前後の変化を追うには便利です。

ただし、

AMSスコアが高い=テストステロンが低い

というわけではありません。

そのため、AMSは診断そのものではなく、あくまで症状を整理するための補助ツールとして使います。

 

睡眠についても必ず確認する

男性更年期に似た症状を起こす代表的なものの一つが、睡眠障害です。

特に、

  • 大きないびき

  • 無呼吸を指摘された

  • 日中の眠気

  • 朝の頭痛

  • 熟睡感がない

といった場合には、睡眠時無呼吸症候群(SAS)を考えます。

SASは、

  • 疲労感

  • 集中力低下

  • ED

  • 活力低下

などを起こすため、男性更年期と非常に紛らわしいことがあります。

 

体重・体型の変化も確認する

男性更年期の評価では、体重だけでなく、

  • 腹囲

  • 体脂肪率

  • 筋肉量

  • 最近の体重変化

も参考になります。

特に肥満がある場合には、低テストステロンと関連することがあります。

また、体重が変わっていなくても、

筋肉が減って脂肪が増えている

場合もあるため、可能であれば体組成を確認します。

 

基礎疾患や服薬歴も重要

男性更年期に似た症状や低テストステロンには、

  • 糖尿病

  • 肥満

  • 慢性肝疾患

  • 慢性腎疾患

  • 甲状腺疾患

  • 精巣疾患

  • 下垂体疾患

などが関係することがあります。

また、一部の薬剤も性機能やホルモン環境に影響します。

そのため、

どんな病気があり、どんな薬を使っているか

も確認します。

 

若い男性では妊娠希望も確認する

30代や40代前半など、比較的若い男性では、

  • 現在妊活中か

  • 将来子どもを希望するか

も重要です。

TRTは精子形成を抑制する可能性があるため、治療を考える前に妊孕性の確認が必要です。

 

男性更年期の検査は「問診+採血」が基本

男性更年期の検査は、

問診 → 症状評価 → 身体・生活背景の確認 → テストステロン採血

という流れで進めるのが基本です。

つまり、単に血液検査の数値だけを見るのではなく、

その数値が、実際の症状と一致しているか

を見ることが重要です。

次の章では、男性更年期の評価で中心となるテストステロン採血をいつ・どのように行うのかを詳しく解説します。

 


 

テストステロン採血はいつ行う?

 

男性更年期の評価で中心になるのが、テストステロンの採血です。

ただし、テストステロンは採血する時間帯や体調によって変動するホルモンです。

そのため、

「とりあえずいつでも測ればいい」

というわけではありません。

 

テストステロンは朝に高く、夜に低くなる

テストステロンには日内変動があります。

一般的には、

朝に高く、夕方から夜にかけて低くなる

傾向があります。

そのため、男性更年期や性腺機能低下症の評価では、午前中の採血が基本になります。

特に若い男性ほど日内変動が大きいため、採血時間の影響を受けやすくなります。

 

できれば午前中に測る

海外のガイドラインでは、総テストステロンは朝の時間帯に測定することが推奨されています。

実際の診療では、

午前7〜10時頃

を目安にすることが多いですが、勤務形態や生活リズムによって調整することもあります。

夜勤などで睡眠時間帯が大きくずれている場合には、単純に時計上の「朝」だけで考えにくいこともあります。

 

空腹時が望ましい

テストステロンは食事の影響を受けることがあります。

特に食後には、一時的にテストステロン値が低下することがあります。

そのため、可能であれば、

朝・空腹時

に測定すると、より安定した条件で評価しやすくなります。

ただし、必ず空腹でなければ測れないという意味ではありません。

重要なのは、低値が出た場合に採血条件を確認することです。

 

寝不足や体調不良でも低く出ることがある

テストステロンは、

  • 睡眠不足

  • 強いストレス

  • 発熱

  • 急性感染症

  • 重い体調不良

などでも一時的に低下することがあります。

そのため、風邪や感染症などで体調が悪い時期に測定し、低値だったとしても、

それが普段のテストステロン値とは限りません。

可能であれば、体調が安定している時期に測定します。

 

一度低かっただけでは診断しない

テストステロンが低値だった場合でも、基本的には1回の結果だけで判断しません。

特に、

  • 採血時間が遅かった

  • 食後だった

  • 寝不足だった

  • 体調不良だった

といった場合には、条件を整えて再検査します。

海外の主要ガイドラインでも、低テストステロンを診断する場合には、別の日に繰り返し低値を確認することが推奨されています。

 

朝に測れば、それだけで正確というわけではない

午前中に採血することは重要ですが、

朝に測った=その1回で確定

ではありません。

テストステロン値には個人差もあり、日によって変動します。

そのため、

症状がある
+
朝の採血で低値
+
必要に応じて再検査でも低値

という流れで評価していきます。

 

高齢になると日内変動は小さくなる

テストステロンの日内変動は、若い男性でより明確です。

加齢とともに朝と夜の差は小さくなる傾向があります。

それでも、検査条件をそろえる意味では、原則として午前中に測定するのが分かりやすい方法です。

 

夜間診療ではどうする?

夜間に男性更年期の相談を受けた場合でも、その場で無理にテストステロンを測定する必要はありません。

まず、

  • 症状

  • 性機能

  • 睡眠

  • 体組成

  • 基礎疾患

などを確認し、テストステロン採血だけは後日午前中に行うという方法もあります。

男性更年期の評価では、採血のタイミングを適切に設定することも診断の一部です。

 

テストステロン採血の基本をまとめると

テストステロンを評価する際には、

午前中
+
可能なら空腹時
+
体調が安定しているとき
+
低値なら再検査

という条件を意識します。

単に「低かった」「正常だった」という数字だけではなく、どのような条件で測ったかまで含めて評価することが大切です。

 


 

総テストステロンと遊離テストステロンの違い

 

男性更年期の検査では、

総テストステロン(total testosterone)

と

遊離テストステロン(free testosterone)

という言葉が出てきます。

どちらもテストステロンを評価する検査ですが、意味は少し異なります。

 

総テストステロンとは?

血液中のテストステロンの多くは、そのまま自由に存在しているわけではありません。

主に、

  • SHBG(性ホルモン結合グロブリン)

  • アルブミン

というタンパク質と結合しています。

総テストステロンは、

結合しているテストステロンも、遊離しているテストステロンも含めた全体量

を測定したものです。

海外では、男性性腺機能低下症を評価する際に、まず総テストステロンを測定するのが基本です。

 

遊離テストステロンとは?

遊離テストステロンは、血液中でSHBGなどと強く結合していないテストステロンです。

割合としてはごく一部ですが、組織で作用しやすいテストステロンとして扱われます。

そのため、

総テストステロンが正常範囲でも、遊離テストステロンが低い

というケースがあります。

 

なぜ総テストステロンと遊離テストステロンがずれるの?

その理由の一つがSHBGです。

SHBGの量が変化すると、総テストステロンと遊離テストステロンの関係も変わります。

例えば、SHBGは、

  • 加齢

  • 甲状腺機能亢進症

  • 一部の肝疾患

などで上昇することがあります。

SHBGが高いと、総テストステロンがある程度保たれていても、遊離テストステロンが低くなることがあります。

反対に、

  • 肥満

  • インスリン抵抗性

  • 2型糖尿病

などではSHBGが低くなることがあります。

この場合、総テストステロンは低く見えても、遊離テストステロンまで同じ程度に低いとは限りません。

 

肥満では総テストステロンだけで判断しにくい

肥満がある男性では、SHBG低下によって総テストステロンが低く測定されることがあります。

そのため、

肥満+総テストステロン低値

だけで、

「男性ホルモンが不足している」

と判断するのは注意が必要です。

症状やSHBG、遊離テストステロンなどを合わせて考えます。

 

加齢では遊離テストステロンが低下しやすい

加齢とともにSHBGが上昇する傾向があるため、

総テストステロンよりも遊離テストステロンの低下が目立つ

ことがあります。

このため、日本ではLOH症候群の評価において、遊離テストステロンが比較的重視されてきました。

 

日本と海外では評価方法が少し違う

日本では、LOH症候群の評価において遊離テストステロンが広く利用されてきました。

一方、欧米のガイドラインでは、

まず朝の総テストステロンを測定する

ことを基本とし、

  • 総テストステロンが境界域

  • SHBG異常が疑われる

  • 症状と総テストステロン値が一致しない

といった場合に、遊離テストステロンを追加評価する考え方が一般的です。

つまり、

どちらか一方だけが絶対に正しい

というわけではありません。

 

遊離テストステロンの測定方法にも注意が必要

遊離テストステロンは、測定方法によって精度や解釈が異なることがあります。

海外では、

  • 平衡透析法

  • 総テストステロン・SHBG・アルブミンから計算するfree testosterone

などが用いられます。

一方、日本では直接測定された遊離テストステロン値が臨床で広く使われています。

そのため、海外文献の「free testosterone」と日本の検査結果を単純に同じ基準で比較できない場合があります。

 

総テストステロンが正常なら男性更年期ではない?

そうとは限りません。

例えば、

症状が強い
+
総テストステロンが境界域
+
SHBGが高い

という場合には、遊離テストステロンを確認することで評価が変わる可能性があります。

反対に、総テストステロンが少し低くても、

  • 肥満が強い

  • SHBGが低い

  • 性機能症状がない

場合には、すぐに性腺機能低下症と判断しないこともあります。

 

大切なのは「数値を一つだけ見ない」こと

男性更年期の評価では、

総テストステロン
+
遊離テストステロン
+
SHBG
+
症状
+
体格や基礎疾患

を必要に応じて組み合わせて考えます。

テストステロンの評価は、単に基準値を超えているかどうかだけでなく、

その数値が本人の症状や身体の状態と一致しているか

を見ることが重要です。

 


 

LH・FSH・プロラクチンは何のために測る?

 

テストステロンが低かった場合、次に重要になるのが、

「なぜ低いのか」

を考えることです。

そのために確認する代表的なホルモンが、

  • LH

  • FSH

  • プロラクチン

です。

これらを調べることで、低テストステロンの原因が、

精巣側にあるのか

それとも、

下垂体・視床下部側にあるのか

を考える手がかりになります。

 

LHとは?

LHは、下垂体から分泌されるホルモンです。

男性では、精巣のライディッヒ細胞に作用して、テストステロン産生を促します。

つまり、

LH → 精巣 → テストステロン

という関係です。

 

テストステロンが低くてLHが高い場合

テストステロンが低いのにLHが高い場合には、

精巣が十分にテストステロンを作れていない

可能性を考えます。

下垂体は、

「テストステロンが足りない」

と判断してLHを増やしていますが、それでも精巣が十分に反応できていない状態です。

これは、原発性性腺機能低下症を考えるパターンです。

原因としては、

  • 精巣障害

  • 精巣炎

  • 外傷

  • 抗がん剤や放射線治療

  • 一部の遺伝性疾患

などがあります。

 

テストステロンが低くてLHも低い・正常の場合

一方、

テストステロンが低いのにLHが十分に上がっていない

場合には、

  • 下垂体

  • 視床下部

からの刺激が弱くなっている可能性があります。

これは、続発性性腺機能低下症を考えるパターンです。

原因には、

  • 肥満

  • 慢性疾患

  • 強いストレス

  • 一部の薬剤

  • 高プロラクチン血症

  • 下垂体疾患

などがあります。

中高年男性では、器質的な病気ではなく、肥満や慢性疾患に伴う機能性の低テストステロンがみられることもあります。

 

FSHとは?

FSHも下垂体から分泌されるホルモンです。

男性では主に精巣のセルトリ細胞に作用し、精子形成に関係します。

そのためFSHは、

  • 精巣機能

  • 精子形成

  • 妊孕性

を考えるうえで重要です。

特に若い男性や妊娠希望がある男性では、FSHの評価が役立ちます。

 

LHとFSHを一緒に見る意味

LHとFSHは似たホルモンですが、役割は少し異なります。

  • LH:主にテストステロン産生

  • FSH:主に精子形成

に関係します。

そのため、低テストステロンがある場合には、LHとFSHを合わせて見ることで、精巣全体の機能をより詳しく評価できます。

 

プロラクチンとは?

プロラクチンは、主に下垂体から分泌されるホルモンです。

女性では授乳との関係で有名ですが、男性でも重要です。

男性でプロラクチンが異常に高いと、

  • LH・FSH分泌が抑えられる

  • テストステロンが低下する

  • 性欲が低下する

  • EDが起こる

ことがあります。

 

高プロラクチン血症があれば原因検索が必要

プロラクチンが高い場合には、

  • 一部の薬剤

  • 下垂体腺腫

  • 甲状腺機能低下症

  • 腎機能障害

などを考えます。

そのため、

低テストステロン+LH低値または正常低値

という場合には、プロラクチンを測定することがあります。

 

すべての人にLH・FSH・プロラクチンが必要?

必ずしも、すべての男性に最初から必要とは限りません。

まずテストステロンを確認し、

  • 明らかに低い

  • 若年で低テストステロンがある

  • 原因がはっきりしない

  • 妊娠希望がある

  • 性欲低下やEDが強い

といった場合に、LH・FSH・プロラクチンを追加します。

 

数値の組み合わせを見ると原因が分かりやすい

大まかには、

テストステロン低値+LH高値
→ 精巣側の問題を考える

テストステロン低値+LH低値〜正常
→ 下垂体・視床下部側、または機能性の低下を考える

という整理ができます。

ただし、実際には症状、年齢、肥満、薬剤、慢性疾患なども含めて判断します。

 

テストステロンが低いときは「原因まで調べる」

男性更年期の検査では、

テストステロンが低いかどうか

だけで終わりではありません。

必要に応じて、

LH
FSH
プロラクチン

を追加することで、

「どこに原因があるのか」

を考えていきます。

特に若い男性や、明らかに低い値が出た場合には、原因検索を丁寧に行うことが重要です。

 


 

テストステロン以外の血液検査は何を見る?

 

男性更年期の検査では、テストステロンだけを測れば十分というわけではありません。

男性更年期に似た症状は、

  • 貧血

  • 糖尿病

  • 甲状腺機能異常

  • 肝機能障害

  • 腎機能障害

  • 生活習慣病

などでも起こるため、症状や年齢に応じて一般的な血液検査も組み合わせます。

 

血算|貧血や赤血球の状態を確認する

疲労感や息切れがある場合には、血算を確認します。

主に、

  • ヘモグロビン

  • ヘマトクリット

  • 赤血球数

などをみます。

貧血があると、

  • 疲労感

  • 動悸

  • 息切れ

  • 集中力低下

など、男性更年期に似た症状が出ることがあります。

また、TRTを開始すると赤血球が増えることがあるため、治療前の基準値を確認しておく意味もあります。

 

血糖・HbA1c|糖尿病やインスリン抵抗性を確認する

糖尿病やインスリン抵抗性は、低テストステロンやEDと関連します。

そのため、

  • 空腹時血糖

  • HbA1c

などを確認します。

特に、

  • 肥満

  • 体脂肪増加

  • 家族歴

  • ED

  • 疲労感

がある場合には重要です。

糖代謝異常がある場合には、ホルモンだけでなく生活習慣や代謝の改善が必要になります。

 

脂質|動脈硬化リスクを確認する

脂質異常症は、EDや心血管リスクと関係します。

そのため、

  • LDLコレステロール

  • HDLコレステロール

  • 中性脂肪

などを確認することがあります。

特に50代以降では、EDが男性更年期だけでなく動脈硬化のサインになっていることもあるため、心血管リスクの評価が重要です。

 

甲状腺機能|男性更年期に似た症状を除外する

甲状腺機能異常では、

  • 疲労感

  • 気分の変化

  • 動悸

  • 発汗

  • 体重変化

  • 性機能低下

などがみられます。

そのため、

  • TSH

  • FT4

などを測定することがあります。

特に、疲労感や体重変化が強い場合には、甲状腺機能を確認する意味があります。

 

肝機能|慢性肝疾患やSHBGへの影響を確認する

肝臓はホルモン代謝やSHBG産生にも関係しています。

そのため、

  • AST

  • ALT

  • γ-GTP

などを確認します。

慢性肝疾患がある場合には、テストステロン値の解釈にも注意が必要です。

 

腎機能|慢性腎疾患による疲労やホルモン変化を確認する

腎機能障害では、

  • 倦怠感

  • 貧血

  • 性機能低下

などが起こることがあります。

そのため、

  • クレアチニン

  • eGFR

などを確認します。

慢性腎疾患がある場合には、症状の原因が男性更年期だけとは限りません。

 

PSA|TRTを考える場合に重要

PSAは前立腺の状態を評価する血液検査です。

男性更年期の診断そのものに必須というわけではありませんが、TRTを検討する場合には重要な検査になります。

特に中高年男性では、

  • PSA

  • 前立腺疾患の既往

  • 排尿症状

などを確認します。

 

ビタミンDや亜鉛は?

男性更年期の評価で、

  • ビタミンD

  • 亜鉛

を測定することもあります。

これらは、

  • 骨

  • 筋肉

  • 免疫

  • 栄養状態

などと関係します。

ただし、男性更年期の診断に必須というわけではありません。

不足が疑われる場合や、体組成・骨・栄養状態まで含めて評価したい場合に追加します。

 

検査項目は症状に合わせて選ぶ

男性更年期の血液検査は、

全員に同じ項目を測る

というより、

  • どんな症状があるか

  • 年齢

  • 体格

  • 基礎疾患

  • TRTを検討するか

によって調整します。

例えば、

疲労感が強い
→ 血算・甲状腺・糖代謝

肥満+ED
→ HbA1c・脂質・テストステロン

TRTを検討
→ 血算・PSA・肝腎機能など

という形です。

 

男性更年期の検査は「原因を見つけるための検査」

男性更年期の血液検査の目的は、

テストステロンが低いことを確認するだけではありません。

男性更年期に似た別の病気がないかを確認し、

症状の原因を整理すること

が重要です。

そのため、テストステロンと一般的な血液検査を組み合わせて評価します。

 


 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)はどう評価する?

 

男性更年期を評価するときに、見逃したくないのが**睡眠時無呼吸症候群(SAS)**です。

SASでは、

  • 強い疲労感

  • 日中の眠気

  • 集中力低下

  • 活力低下

  • ED

  • 性欲低下

などがみられることがあり、男性更年期の症状とよく似ています。

そのため、

「疲れるから男性更年期」

と考える前に、睡眠の状態を確認することが重要です。

 

まず確認したい症状

SASを疑う場合には、

  • 大きないびき

  • 睡眠中の無呼吸を指摘された

  • 夜中に何度も目が覚める

  • 朝に頭痛がある

  • 起きても熟睡感がない

  • 日中に強い眠気がある

といった症状を確認します。

特に、

いびき+日中の眠気+肥満

がある場合には、SASを疑いやすくなります。

 

STOP-BANGでリスクを確認する

SASのスクリーニングには、STOP-BANGという質問票がよく使われます。

主に、

  • Snoring:いびき

  • Tired:日中の疲労・眠気

  • Observed apnea:無呼吸の指摘

  • Pressure:高血圧

  • BMI

  • Age

  • Neck circumference:首回り

  • Gender:男性

を確認します。

点数が高いほど、中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸の可能性が高くなります。

STOP-BANGだけでSASを診断することはできませんが、精密検査が必要かどうかを判断するためのスクリーニングとして有用です。

 

男性更年期とSASは同時に存在することもある

重要なのは、

男性更年期かSASか、どちらか一方とは限らない

という点です。

例えば、

  • 肥満

  • SAS

  • 低テストステロン

  • ED

が同時に存在することもあります。

SASによる睡眠の質の低下が疲労感や性機能低下につながり、肥満や代謝異常が低テストステロンに関係している場合もあります。

 

SASが疑わしい場合は睡眠検査を行う

SASが疑われる場合には、睡眠検査を検討します。

代表的なのは、

簡易睡眠検査(HSAT:Home Sleep Apnea Test)

です。

自宅で、

  • 呼吸

  • 酸素飽和度

  • 気流

  • いびき

などを記録し、睡眠時無呼吸の可能性を評価します。

必要に応じて、より詳しい終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)を行うこともあります。

 

TRT前にSASを確認する理由

TRTを検討する場合には、SASの有無も重要です。

特に重症で未治療の閉塞性睡眠時無呼吸がある場合には、TRT開始前に慎重な評価が必要です。

そのため、

  • 大きないびき

  • 無呼吸の指摘

  • 日中の強い眠気

がある場合には、テストステロン補充より先にSASを評価することがあります。

 

CPAP治療で症状が改善することもある

SASが確認され、CPAPなどの治療を行うことで、

  • 日中の眠気

  • 疲労感

  • 集中力低下

  • QOL

が改善することがあります。

EDや性機能についても、睡眠の改善によって良くなることがあります。

そのため、

疲労感やEDのすべてをテストステロンだけで説明しないこと

が重要です。

 

痩せていてもSASは否定できない

SASは肥満との関連が強いですが、痩せている方にも起こります。

  • 顎の形

  • 気道の狭さ

  • 扁桃肥大

  • 加齢

なども関係します。

そのため、

「太っていないからSASではない」

とは言い切れません。

 

男性更年期の検査では「睡眠」も検査項目の一つ

男性更年期の評価では、血液検査だけでなく、

睡眠の評価も重要な検査の一部

と考えると分かりやすいでしょう。

特に、

疲労感
+
日中の眠気
+
いびき・無呼吸

がある場合には、テストステロンだけでなくSASを確認することが大切です。

 


 

体組成・InBodyは男性更年期の評価にどう役立つ?

 

男性更年期の評価では、血液検査だけでなく体組成を見ることも役立ちます。

特に確認したいのは、

  • 筋肉量

  • 体脂肪率

  • 内臓脂肪

  • 体重

  • BMI

などです。

男性更年期や低テストステロンでは、筋肉量の低下や体脂肪の増加がみられることがあります。

一方で、肥満そのものがテストステロン低下に関係することもあります。

そのため、体組成を確認すると、

ホルモン低下の結果として身体が変化しているのか

あるいは、

肥満や運動不足が低テストステロンに影響しているのか

を考える手がかりになります。

 

体重だけでは分からないことがある

体重は分かりやすい指標ですが、それだけでは身体の中身までは分かりません。

例えば、体重がほとんど変わっていなくても、

筋肉量が減って、体脂肪が増えている

ことがあります。

そのため、

  • 以前より疲れやすい

  • 筋力が落ちた

  • お腹まわりが増えた

  • 体型が変わった

という場合には、体組成をみる意味があります。

 

InBodyでは何が分かる?

InBodyなどの体組成計では、機種によって異なりますが、

  • 体脂肪率

  • 筋肉量

  • 骨格筋量

  • 部位別筋肉量

  • 内臓脂肪レベル

  • 基礎代謝量

などを確認できます。

これらを使うことで、単なる体重変化ではなく、

「脂肪が増えたのか」「筋肉が減ったのか」

をより具体的に評価できます。

 

低テストステロンでは筋肉量が低下することがある

テストステロンは筋肉の維持に関係するホルモンです。

そのため、低テストステロンが続くと、

  • 筋肉量低下

  • 筋力低下

  • 身体機能低下

がみられることがあります。

特に中高年男性では、

「体重は変わらないのに身体がたるんできた」

と感じる場合に、筋肉量と体脂肪のバランスを見ると分かりやすいことがあります。

 

肥満はテストステロンを下げる要因にもなる

肥満と低テストステロンは、一方向の関係ではありません。

肥満があると、

  • SHBG低下

  • インスリン抵抗性

  • 炎症

  • 視床下部・下垂体―精巣系への影響

などを通じて、テストステロンが低下することがあります。

その結果、

肥満 → テストステロン低下 → 筋肉量低下・脂肪増加 → さらに肥満

という悪循環になることがあります。

 

BMIだけでは十分ではない

BMIは、

体重 ÷ 身長²

で計算する簡単な指標です。

ただし、BMIだけでは、

  • 筋肉が多いのか

  • 脂肪が多いのか

を区別できません。

例えば、筋肉量が多い男性ではBMIが高くても肥満とは限りません。

逆に、BMIが正常でも筋肉が少なく、体脂肪率が高い場合もあります。

そのため、男性更年期の評価では、可能であれば体組成も合わせて見るとより具体的です。

 

治療前後の変化を見るのにも使える

体組成は、治療の効果をみるうえでも役立ちます。

例えば、

  • 運動

  • 食事改善

  • 減量

  • TRT

などを行った場合、

体重だけでなく筋肉量や体脂肪率がどう変化したか

を見ることで、身体の変化をより客観的に確認できます。

 

TRTをすれば筋肉が増える?

低テストステロンがある男性では、TRTによって除脂肪体重が増え、体脂肪が減少することがあります。

ただし、

TRTだけで理想的な体型になる

というわけではありません。

筋力や体組成を改善するためには、

  • 筋力トレーニング

  • 十分なタンパク質摂取

  • 体重管理

  • 睡眠

なども重要です。

 

体組成は診断そのものではない

InBodyで筋肉量が少なかったり体脂肪率が高かったりしても、それだけで男性更年期と診断することはできません。

体組成はあくまで、

テストステロン値や症状を補助する情報

です。

 

男性更年期では「数値の変化」を追うことも大切

体組成の大きなメリットは、治療前後で比較できることです。

例えば、

初診時
↓
生活習慣改善・治療
↓
3〜6か月後

という形で測定すると、

  • 筋肉量が増えたか

  • 体脂肪が減ったか

  • 内臓脂肪が改善したか

を確認できます。

男性更年期の評価では、血液検査だけでなく、身体そのものがどう変化しているかを見ることも重要です。

 


 

テストステロンが低かったら、次に何をする?

 

男性更年期の検査でテストステロンが低かった場合、

「すぐにTRTを始めるの?」

と思う方もいます。

しかし、実際には低値を確認したあとに、再検査・原因評価・治療適応の判断を行います。

 

まずは採血条件を確認する

最初に確認するのは、

  • 午前中に測定したか

  • 空腹時だったか

  • 寝不足ではなかったか

  • 発熱や感染症など体調不良がなかったか

という点です。

テストステロンは採血条件や体調によって変動するため、条件が不十分だった場合には再検査を考えます。

 

低値なら再検査する

一度低かっただけで、すぐに性腺機能低下症と診断するわけではありません。

特に海外のガイドラインでは、別の日の朝に再度測定し、低値が持続していることを確認することが基本です。

症状があり、

朝のテストステロン低値
↓
再検査でも低値

となった場合に、より低テストステロンを疑いやすくなります。

 

次に「なぜ低いのか」を調べる

低テストステロンが確認されたら、

  • LH

  • FSH

  • プロラクチン

などを追加し、

精巣側の問題か、下垂体・視床下部側の問題か

を考えます。

特に、

  • 若い男性

  • 極端に低い値

  • 妊娠希望がある

  • 原因がはっきりしない

場合には、原因検索が重要です。

 

肥満・睡眠・生活習慣も見直す

テストステロン低下には、

  • 肥満

  • 睡眠不足

  • SAS

  • 運動不足

  • 糖尿病

  • 慢性疾患

などが関係することがあります。

このような場合には、

原因への介入だけでテストステロンや症状が改善する可能性

もあります。

そのため、低値だからといって必ずホルモン補充が必要なわけではありません。

 

症状があるかどうかが重要

治療を考えるうえで重要なのは、

テストステロン値だけではなく、症状があるか

です。

例えば、

  • 性欲低下

  • 朝立ち減少

  • ED

  • 疲労感

  • 活力低下

などがあり、低テストステロンも確認されている場合には、治療を検討しやすくなります。

一方、数値が低めでも症状がほとんどない場合には、経過観察や原因評価を優先することがあります。

 

TRTを考える場合は治療前検査を行う

TRTを検討する場合には、開始前に安全性を確認します。

代表的には、

  • 血算

  • ヘマトクリット

  • PSA

  • 前立腺の状態

  • 睡眠時無呼吸症候群

  • 心血管リスク

  • 妊娠希望

などを確認します。

特に、未治療の重症SASや高ヘマトクリットがある場合には、慎重な判断が必要です。

 

若い男性では妊孕性を必ず考える

TRTは、

LH・FSHを抑制し、精子形成を低下させる

可能性があります。

そのため、

  • 妊活中

  • 今後子どもを希望する

男性では、TRTを安易に開始しないことが重要です。

必要に応じて、他の治療選択肢や専門医への相談を検討します。

 

「低い=すぐ注射」ではない

男性更年期の診療では、

低値を確認
↓
再検査
↓
原因検索
↓
症状との一致を確認
↓
生活習慣や基礎疾患を評価
↓
必要ならTRT

という流れで考えます。

重要なのは、数字だけを上げることではありません。

症状が改善し、生活の質が良くなるか

が治療の目的です。

 

テストステロンが低くても、他の原因が主役のこともある

例えば、

低テストステロン+肥満+SAS

という場合には、SAS治療や減量が非常に重要です。

また、

低テストステロン+強い抑うつ症状

であれば、精神面の評価が必要なこともあります。

つまり、低テストステロンが見つかったからといって、すべての症状をホルモンだけで説明しないことが大切です。

 

検査は「治療法を決めるため」に行う

男性更年期の検査は、

男性更年期かどうかを名前で決めるため

だけではありません。

  • 何が原因なのか

  • 治療が必要なのか

  • 生活習慣改善でよいのか

  • TRTが適しているのか

を判断するために行います。

テストステロンが低かった場合も、まずはその背景を丁寧に確認することが重要です。

 


 

男性更年期の受診目安|どんな症状なら検査を考える?

 

男性更年期の症状は幅広く、

「どの程度なら受診した方がいいのか」

「疲れているだけでも検査した方がいいのか」

と迷う方は少なくありません。

結論としては、年齢だけではなく、症状の種類・組み合わせ・持続期間・生活への影響をみて受診を考えます。

 

性機能の変化がある場合

特に受診やテストステロン検査を考えやすいのは、

  • 性欲が明らかに低下した

  • 朝立ちが減った

  • EDが続いている

といった性機能の変化がある場合です。

これらは、疲労感や気分の落ち込みに比べると低テストステロンとの関連を考えやすい症状です。

特に、

性欲低下+朝立ち減少+ED

のように複数が重なっている場合には、一度評価する意味があります。

 

疲労感が長く続いている場合

疲労感は非常に多くの病気で起こるため、疲れているだけで男性更年期とはいえません。

ただし、

  • 十分寝ても疲れが取れない

  • 以前より明らかに体力が落ちた

  • 数週間〜数か月続いている

  • 仕事や日常生活に支障がある

という場合には、検査を考えてよいでしょう。

この場合には、テストステロンだけでなく、

  • 貧血

  • 甲状腺機能

  • 糖尿病

  • 睡眠障害

なども確認します。

 

気分や集中力の変化がある場合

男性更年期では、

  • イライラ

  • 気分の落ち込み

  • やる気の低下

  • 集中力低下

などがみられることがあります。

ただし、これらはストレスやうつ、不安、睡眠不足でも起こります。

そのため、

精神症状だけで男性更年期と判断しない

ことが重要です。

一方で、

性欲低下やEDなどの性機能症状+気分・集中力低下

が重なっている場合には、テストステロン評価を考えやすくなります。

 

体型や筋力の変化が目立つ場合

男性更年期では、

  • 筋肉量低下

  • 筋力低下

  • 体脂肪増加

  • お腹まわりの増加

などがみられることがあります。

特に、

運動量や食事が大きく変わっていないのに体型が変化した

場合には、体組成や代謝の評価を行う意味があります。

ただし、肥満や運動不足そのものがテストステロン低下につながることもあるため、原因と結果の両方を考えます。

 

睡眠の問題がある場合

  • 大きないびき

  • 無呼吸の指摘

  • 日中の眠気

  • 熟睡感がない

といった場合には、SASを考えます。

この場合には、男性更年期の検査だけでなく、睡眠検査も検討します。

 

30代でも受診していい?

もちろん問題ありません。

30代でも、

  • 性欲低下

  • ED

  • 朝立ちの減少

  • 疲労感

などが続いている場合には、テストステロン評価を検討できます。

ただし、若い男性では、

  • 精巣疾患

  • 下垂体疾患

  • 肥満

  • 薬剤

  • アナボリックステロイド使用歴

など、年齢以外の原因をより丁寧に確認します。

 

50代・60代なら全員検査した方がいい?

年齢だけを理由に、全員が検査を受ける必要はありません。

症状がなく、日常生活に支障もない場合には、年齢だけでテストステロンを測る必要性は高くありません。

大切なのは、

以前と比べて何が変わったか

です。

 

どれくらい続いたら受診?

明確な日数の基準があるわけではありませんが、

数週間〜数か月続いている

場合や、

仕事・性生活・日常生活に影響している

場合には、一度相談してよいでしょう。

症状が軽くても、本人が気になっている場合には相談して問題ありません。

 

受診時に伝えるとよいこと

受診する場合には、

  • いつから症状があるか

  • 性欲の変化

  • 朝立ちの変化

  • EDの有無

  • 睡眠の状態

  • 体重や体型の変化

  • 基礎疾患

  • 服薬歴

を伝えると、評価がスムーズです。

 

「気になる」が受診理由で十分

男性更年期は、

「この症状があれば必ず受診」

という病気ではありません。

ただし、

以前と比べて明らかな変化が続いている

場合には、一度評価する価値があります。

特に、

性機能症状+疲労感・活力低下

が重なっている場合には、テストステロン検査を考えてよいでしょう。

 


 

男性更年期の検査結果をどう見る?

 

男性更年期の検査でテストステロンを測ると、

「基準値の中に入っているから大丈夫」

「少し低いから男性更年期」

と考えたくなるかもしれません。

しかし、実際には数値だけで判断しないことが重要です。

男性更年期の評価では、

症状
+
テストステロン値
+
採血条件
+
背景疾患

を組み合わせて考えます。

 

基準値内でも症状があれば評価は必要

テストステロンが基準値内でも、

  • 性欲低下

  • 朝立ちの減少

  • ED

  • 強い疲労感

  • 活力低下

などの症状がある場合には、そこで評価を終わりにしないことがあります。

特に、

  • 総テストステロンが境界域

  • SHBG異常が疑われる

  • 症状と数値が合わない

場合には、遊離テストステロンやSHBGを追加で確認することがあります。

 

「境界域」はどう考える?

テストステロン値が、

明らかな低値ではないけれど、低め

というケースは少なくありません。

この場合には、

  • 症状があるか

  • 再検査で同じ傾向か

  • 採血条件は適切だったか

  • 肥満やSHBG異常がないか

を確認します。

境界域では、単純に数値だけでTRTの適応を決めるのではなく、総合的に判断します。

 

明らかに低い場合でも再確認が必要

テストステロンが明らかに低かった場合でも、

  • 朝に採血したか

  • 寝不足ではなかったか

  • 体調不良ではなかったか

を確認します。

また、低値が持続している場合には、

  • LH

  • FSH

  • プロラクチン

などを追加して原因検索を行います。

 

総テストステロンと遊離テストステロンが一致しないこともある

総テストステロンと遊離テストステロンは、常に同じ動きをするわけではありません。

例えば、

  • 加齢

  • 肥満

  • 糖尿病

  • 肝疾患

  • 甲状腺疾患

などでSHBGが変化すると、

総テストステロンと遊離テストステロンの見え方がずれる

ことがあります。

そのため、必要に応じて両者を組み合わせて評価します。

 

症状が強いのにテストステロンが正常な場合

この場合には、

「男性更年期ではないから何も問題ない」

とは限りません。

例えば、

  • SAS

  • 貧血

  • 甲状腺機能異常

  • 糖尿病

  • 精神的ストレス

  • 慢性疾患

などで、男性更年期に似た症状が出ている可能性があります。

つまり、テストステロンが正常でも、症状の原因検索は必要です。

 

テストステロンが低いのに症状がない場合

反対に、テストステロンが低めでも、症状がほとんどないことがあります。

この場合には、

  • 採血条件

  • 再検査

  • 基礎疾患

  • 原因

を確認しながら、経過観察になることもあります。

数値を正常化すること自体が治療目的ではありません。

 

治療の判断は「症状改善」が目標

TRTを行うかどうかを考えるときに重要なのは、

テストステロンを高くすること

ではありません。

目的は、

  • 性欲

  • ED

  • 活力

  • 疲労感

  • 生活の質

などが改善するかどうかです。

そのため、治療後も数値だけでなく症状の変化を確認します。

 

一度の検査結果より「全体像」が重要

男性更年期の検査結果は、

正常・異常の二択

で見るものではありません。

重要なのは、

本人の症状と検査値が一致しているか

です。

そのため、

低いからすぐ治療
正常だから何もしない

という単純な判断ではなく、背景も含めて評価することが大切です。

 


 

男性更年期の検査は結局どこまで必要?

 

男性更年期の検査項目を見ると、

「結局、何をどこまで調べればいいの?」

と感じる方もいると思います。

実際には、すべての人に同じ検査を行うわけではありません。

症状や年齢、基礎疾患、治療を検討するかどうかによって、必要な検査は変わります。

大きく分けると、

①まず確認する検査
②必要に応じて追加する検査
③TRTを考える場合の検査

の3段階で考えると分かりやすいです。

 

まず確認したい基本の評価

男性更年期が疑われる場合には、まず、

  • 症状の問診

  • 性欲・ED・朝立ちの変化

  • 睡眠状態

  • 体重・体組成

  • 基礎疾患・服薬歴

  • 朝のテストステロン採血

を確認します。

この時点で、

本当に低テストステロンが疑わしいのか

を判断します。

 

最低限の血液検査

症状に応じますが、一般的には、

  • 総テストステロン

  • 血算

  • 血糖・HbA1c

  • 肝機能

  • 腎機能

  • 甲状腺機能

などを確認すると、男性更年期に似た他の原因もある程度整理できます。

特に疲労感が強い場合には、テストステロンだけを測るより、こうした一般検査も一緒に行う意味があります。

 

テストステロンが低ければ追加する検査

テストステロン低値が確認された場合には、

  • LH

  • FSH

  • プロラクチン

などを追加します。

これによって、

精巣側の問題なのか

下垂体・視床下部側の問題なのか

を考えます。

必要に応じて、遊離テストステロンやSHBGも参考にします。

 

症状によって追加する検査

例えば、

疲労感が強い
→ 血算、甲状腺機能、血糖

肥満・体重増加がある
→ HbA1c、脂質、体組成

いびき・日中の眠気がある
→ STOP-BANG、睡眠検査

若年で明らかな低テストステロン
→ LH・FSH・プロラクチンなど原因検索

という形で検査を追加します。

 

TRTを検討する場合には安全性評価を追加する

TRTを考える場合には、

  • ヘモグロビン・ヘマトクリット

  • PSA

  • 前立腺の状態

  • SASの有無

  • 心血管リスク

  • 妊娠希望

などを確認します。

治療開始後も、

  • テストステロン値

  • 血算

  • PSA

  • 症状

などを定期的に確認します。

 

最初から「フルセット」が必要とは限らない

検査項目を増やせば増やすほど良いというわけではありません。

例えば、症状が軽く、テストステロンも十分保たれている場合には、ホルモン検査をどんどん追加しても有益な情報が増えないことがあります。

反対に、

若いのに著明な低テストステロンがある

場合には、より詳しい原因検索が必要です。

 

男性更年期の検査は段階的に行う

男性更年期の検査は、

症状を確認
↓
朝のテストステロンを測定
↓
必要なら再検査
↓
低値なら原因検索
↓
他の病気も確認
↓
治療を考える場合は安全性評価

という段階的な流れで進めます。

 

検査の目的は「男性更年期かどうか」だけではない

男性更年期の検査で本当に重要なのは、

症状の原因を見つけること

です。

テストステロンが低ければその原因を考え、正常であれば別の原因を探します。

そして、必要であれば、

  • 生活習慣改善

  • SAS治療

  • ED治療

  • 基礎疾患の治療

  • TRT

など、本人に合った治療につなげます。

検査は多ければよいのではなく、症状に合わせて必要なものを選ぶことが大切です。

 


 

まとめ

 

男性更年期の検査では、テストステロン採血が中心になります。

ただし、男性更年期の症状は非常に幅広く、

  • 睡眠時無呼吸症候群

  • 貧血

  • 甲状腺機能異常

  • 糖尿病

  • 肥満

  • 慢性疾患

  • ストレスや精神的要因

などでも似た症状が出るため、テストステロンだけを見ればよいわけではありません。

評価の基本は、

症状
+
テストステロン値
+
採血条件
+
他の病気の有無
+
生活習慣・睡眠・体組成

をまとめて見ることです。

 

テストステロンは朝に測る

テストステロンには日内変動があるため、基本的には午前中の採血が推奨されます。

可能であれば、

朝・空腹時・体調が安定しているとき

に測定すると評価しやすくなります。

一度低値だった場合には、必要に応じて再検査します。

 

総テストステロンだけで判断しない

総テストステロンは重要な指標ですが、

  • SHBG

  • 遊離テストステロン

  • 肥満

  • 加齢

などによって数値の見え方が変わることがあります。

そのため、症状と数値が一致しない場合には、遊離テストステロンやSHBGを追加して評価することがあります。

 

低かったら「なぜ低いのか」を調べる

テストステロン低値が確認された場合には、

  • LH

  • FSH

  • プロラクチン

などを追加し、

精巣側の問題なのか、下垂体・視床下部側の問題なのか

を考えます。

若い男性や、明らかな低値がある場合には特に原因検索が重要です。

 

一般的な血液検査も大切

男性更年期に似た症状を起こす病気を確認するために、

  • 血算

  • HbA1c

  • 血糖

  • 脂質

  • 甲状腺機能

  • 肝機能

  • 腎機能

なども症状に応じて確認します。

TRTを検討する場合には、PSAやヘマトクリットなども重要です。

 

睡眠と体組成も評価する

疲労感や日中の眠気がある場合には、SASを考えます。

また、

  • 筋肉量

  • 体脂肪率

  • 内臓脂肪

  • 体重変化

などの体組成も、男性更年期の状態を考える参考になります。

 

「低い=すぐTRT」ではない

テストステロンが低かった場合でも、

再検査
→ 原因検索
→ 症状との一致
→ 生活習慣や基礎疾患の評価
→ 必要ならTRT

という流れで考えます。

肥満や睡眠不足、SASが関係している場合には、それらの改善を優先することもあります。

 

受診の目安は「以前と比べて明らかに変化したか」

特に、

  • 性欲が低下した

  • 朝立ちが減った

  • EDが続いている

  • 疲労感や活力低下が長く続く

  • 筋力が落ちた

  • 体脂肪が増えた

などの変化が複数重なっている場合には、年齢にかかわらず一度評価する意味があります。

男性更年期の検査は、

「男性更年期かどうか」を単純に判定するための検査ではありません。

症状の背景に何があるのかを整理し、必要な治療につなげるための検査です。

気になる症状が続いている場合には、まず現在の身体の状態を一度確認してみてください。

 


 

医師からひとこと

 

男性更年期の検査については、

「テストステロンだけ測れば分かるんですよね?」

と思われる方が多いです。

ただ、実際の診療ではそこまで単純ではありません。

例えば、

  • テストステロンは低いけれど症状がほとんどない

  • 症状は強いのにテストステロンは正常

  • 疲労感の原因がSASだった

  • EDの背景に糖尿病や動脈硬化があった

ということもあります。

そのため、検査で大切なのは、

数値を一つ見ることではなく、症状と身体全体の状態を照らし合わせること

です。

特に、

性欲低下・朝立ちの減少・ED

といった性機能の変化があり、そこに疲労感や活力低下が重なっている場合には、テストステロンを確認する意味があります。

一方で、

日中の眠気・いびき・肥満

が目立つ場合には、SASの評価も重要です。

また、テストステロンが低かった場合も、すぐにTRTを始めるのではなく、

なぜ低いのか

を確認します。

男性更年期の検査は、単に「低い・正常」を判定するものではありません。

今の不調の原因を整理し、その人に合った治療につなげるための検査

だと考えてもらうと分かりやすいと思います。

 


 

関連記事

 

男性更年期やテストステロン検査について、さらに詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてください。

今後、各記事を公開したら、それぞれの項目から内部リンクを設定していきます。

 


 

参考文献

  1. 日本泌尿器科学会・日本メンズヘルス医学会・LOH症候群(加齢男性・性腺機能低下症)診療の手引き作成委員会 編.LOH症候群(加齢男性・性腺機能低下症)診療の手引き.医学図書出版,2022.
    日本におけるLOH症候群の診断基準、テストステロン測定、症状調査票、治療などをまとめた基本資料です。

  2. Bhasin S, Brito JP, Cunningham GR, et al. Testosterone Therapy in Men With Hypogonadism: An Endocrine Society Clinical Practice Guideline. J Clin Endocrinol Metab. 2018;103(5):1715-1744.
    性腺機能低下症は、症状・徴候と一貫した低テストステロン値の両方で診断し、朝・空腹時の総テストステロンを再検して確認することを推奨しています。

  3. European Association of Urology. EAU Guidelines on Sexual and Reproductive Health: Male Hypogonadism.2026.
    朝・空腹時の総テストステロン測定、低値時の複数回確認、必要に応じたSHBG・遊離テストステロン評価、LH・FSH・プロラクチンによる原因検索などを推奨しています。

  4. Wu FCW, Tajar A, Beynon JM, et al. Identification of Late-Onset Hypogonadism in Middle-Aged and Elderly Men. N Engl J Med. 2010;363:123-135.
    European Male Ageing Study(EMAS)の代表的研究で、性欲低下、朝立ちの減少、EDなどの性機能症状が低テストステロンとの関連を考えるうえで重要であることを示しました。

  5. Zengerling F, et al. The “Aging Males’ Symptoms” Scale (AMS): predictive value for lowered circulating androgens. Aging Male. 2012.
    AMSスコアは症状を整理するためには有用ですが、スコアだけでは低テストステロンを正確に予測できないことを示しています。

  6. Heinemann LAJ, et al. The Aging Males’ Symptoms (AMS) scale: review of its methodological characteristics.Health Qual Life Outcomes. 2003.
    AMSスコアの信頼性・妥当性を検討した代表的報告で、症状の程度や治療前後の変化を評価する補助ツールとして利用されています。

  7. Chung F, Yegneswaran B, Liao P, et al. STOP questionnaire: a tool to screen patients for obstructive sleep apnea. Anesthesiology. 2008;108(5):812-821.
    いびき、日中の眠気、無呼吸の指摘、高血圧に、BMI・年齢・頸囲・性別を加えたSTOP-BANGにつながる代表的研究です。SASのスクリーニングに用いられます。

  8. Chung F, Abdullah HR, Liao P. STOP-Bang Questionnaire: A Practical Approach to Screen for Obstructive Sleep Apnea. Chest. 2016;149(3):631-638.
    STOP-BANGを用いた閉塞性睡眠時無呼吸のリスク評価について整理した実践的レビューです。

  9. Nagappa M, Liao P, Wong J, et al. Validation of the STOP-Bang Questionnaire as a Screening Tool for Obstructive Sleep Apnea among Different Populations: A Systematic Review and Meta-Analysis. PLoS One. 2015;10.
    STOP-BANGが成人のOSAスクリーニングに有用であることを複数集団で検討したメタ解析です。

  10. European Association of Urology. Male Hypogonadism — Diagnostic Evaluation.
    症状のある男性を対象に、朝・空腹時の総テストステロンを測定し、低値の場合は再検査すること、LH・FSHで原発性と続発性を鑑別し、必要に応じてプロラクチンや下垂体評価を行うことが示されています。

 

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